保険者インタビュー・導入事例

事業所ごとの課題に向き合い自走に向けたサポートを

事例概要

事業所とのコラボヘルスに係る取組を先進的に実施されている阪急阪神健康保険組合。
今回、コラボヘルスを推進するにあたってのきっかけや取組内容について、
阪急阪神健康保険組合事務長の浅井雅代氏に伺いました。

事業所ごとに大きく異なる課題。それぞれ個別に向き合うための取り組みを発足。

データヘルス計画を推進する上で、事業所との協働による保健事業の実施が必要であったが、事業所ごとに業態が異なるため、男女比や年齢構成・事業所文化の違いにより健保組合が画一的に一つの事業を実施しても目指す結果が出ないという課題が顕在化した。

「当健保の加入事業所の業態は幅広く、鉄道や百貨店、ホテルにスーパーと、各業態により抱えている課題や事業所の風土も様々です。そこで、『社員(加入者)の健康を維持したい』という健保と事業所の共通の思いを実現するため、一つ一つの事業所と健保とが向き合う『健康会議』という会議体を新しく作り、健保が実施する保健事業の活用を促そうと思いました。」と浅井氏。

最初に取り組んだのは、共感・協働してくれる事業所の選定

2016年2月の組合会において健康会議の開催を発表し、2016年度中に3つの事業所において個別に健康会議を実施。これを皮切りに、現在では既に計20回程度の協議が実施されているが、最初に協働してくれる事業所の選定は苦労されたとのこと。

「健康会議の取組は、健保組合の営業活動のようなものです。」と浅井氏。

「まずは、健保について知ってもらうことから始めています。その次に、事業所ごとの実態をまとめたレポートを作成し、医療費の実態などの現状を共有します。そこで初めて生活習慣病による医療費への影響、生活習慣病対策の重要性を説明し、自分ごととして認識いただいています。

ここで注意した事は、”健保からの押し付け”でスタートしないこと。将来的には事業所に自走してもらう必要があるので、健康経営の取組に前向きであり労働組合も積極的な関りをもってくれる2事業所を選定し、そこを中心にスタートすることにしました。」(浅井氏)

『大事な従業員の健康と命を守るために・・・』 同じ目的を目指しているという”意識の共有”に注力し、協力者を次々と獲得

健保が主だって取り組んでいるのはデータヘルス計画に沿った事業であるが、医療費の抑制が本来の目的ではなく、社員の健康保持・増進が目的であることが伝わるよう工夫しており、それが事業所側の理解が進んだことに繋がったと思われる。

「大事な従業員が突然亡くなったり、働き続けることが難しくなったりしたら・・・。事業所はもちろん、労働組合や健保だって困ります。『思いも目的も、みんな一緒です。根拠となるデータは事業所レポートとして健保が提供しますので、一緒に取り組んでいきましょう!』と、思いをぶつけました」と浅井氏は明かした。

既存データと事業所独自の文化を掛け合わせ、現場に即した施策を

多くの事業所が健康経営を進めようという思いはありながらも、具体的な対象者選定や手法が分からないため手つかずになっていることが多く感じられる状況である。

そのため、レセプトデータや健診結果データを分析したレポートによる実態共有だけではなく、事業所の独特の文化などを加味した提案を行うことで、事業所をサポートし、成功事例を他事業所に展開したいとの思いがあった。

「ある事業所では、社員全員が健診を受診しているにも関わらず、健保組合がデータとして受領できている分は60%程度でした。その事業所にはデータの提供に関する説明とお願いにより連携が取れるようになり、95%まで伸ばすことができました。また、保健指導も全く手つかずでしたが、事業所担当者の方が積極的に働きかけを行ってくれたことで初回面談の参加率が約80%と健保も驚くような結果となりました。
ただ、その後のフォロー体制が整わず、結果的に終了者率が23%に落ち込んでしまい、モチベーションを継続させることの難しさを実感しました。」(浅井氏)

「この経験より、保健事業を高い水準で継続させるためには、今まで見てきたレセプトデータや健診結果データだけではなく、事業所独自の実態を把握して、根本から動かすことが必要だと考えました。そこで、事業所特有の生活習慣(例:ラーメン好き文化、人気のお菓子など)を数値化し、その結果をレセプトデータや健診結果データとクロス集計することにより、『Aという行動がBという結果に結びついている』という根拠を、その事業所の「健康白書」として提供することで、社員だけでなく会社の経営層にもコンセンサスを取って進めていくことを提案しました。」と浅井氏。

「意識しているのは、レポートを作成することがゴールではなく、これを起点にして行動目標を決め、検証まで行うというPDCAサイクルを回すことです。

作成したレポートを活用して、『健康経営を実現するため従業員の健康に投資しましょう』と事業所をより強く説得できる材料にしたいと考えています。」(浅井氏)

健保は事業所が自走していくためのサポートするのが理想

健保組合としては、事業所が取り組みを継続できるようサポートすることが重要である。

具体的には、現在進行中であるレセプトデータや健診結果データで実態分析をし、アンケート⇒クロス分析で実態把握⇒健康白書⇒介入施策⇒効果検証という流れを他事業所にも展開していく予定である。

「事業所が社員の健康を守ることを『自分ごと化』できるよう、最初に詳細な実態把握を行い、実態に則した目標設定、実態に沿った介入施策の提案を行う事が重要と考えます。

事業所の課題として、問題意識は持っているものの動けていないのが現状であるため、健保は課題整理や事業所が自走していくためのサポートを行うというのが理想だと考えています。」(浅井氏)

2019年度末をもって健保を退任されるとのことで、非常に残念ではあるが、
浅井氏が築いた基盤による、より一層の発展に注目していきたい。
取材日:2020年3月17日


本記事のご感想や今後希望するテーマなどぜひご意見をお寄せください

関連記事

データ分析や保健事業でお悩みの方は
お気軽にご相談ください

CONTACT
お電話でのお問い合わせはこちら
平日10:00~17:00
ご不明な点はお気軽に
お問い合わせください
保険者支援実績No.1
JMDCのサポート内容はこちら
お役立ち情報満載の
メルマガをお届けします