保険者インタビュー・導入事例

健康レポートは職場の状態を映す「鏡」

インタビューイー様のご紹介

アサヒグループ健康保険組合 理事長 御影 佳孝 様
ご入社後支社の総務に配属され、その後人事部、経営企画部等などを2019年に健康保険組合にご着任。
健康保険組合では、事務長、常務理事を経験し、2021年9月より理事長にご就任。

導入の背景 数字に対する原因を把握し効果的に行動するデータヘルスが重要、データをもとに事業主と課題を共有できれば、職場の健康環境改善に取り組める、健康状態がどのように変化しているのかを客観的に把握する必要があると考えたためです。
導入の決め手

JMDCは事業主が健康課題を認識しやすいデータを作成し、当健保の能力を理解した上で一緒に取り組もうとしてくださっていると感じました。また、たくさんのサンプルをご提案いただく一方で、オーダーメイドのカスタマイズもお願いできることも強みだと感じました。

導入後の効果 事業主と、事業所別健康レポートと言う共通言語ができたことで、健康に対する課題認識を合わせることができたと感じています。

事例概要

コラボヘルス強化のために、JMDCの事業所別健康レポートを2021年度に新規導入されたアサヒグループ健康保険組合様。

レポート導入までの経緯や導入後の事業主からの反応について、インタビューでお伺いしました。

アサヒグループ健康保険組合様について教えてください。

アサヒグループ健康保険組合は、アサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品などの事業会社の他、関係会社を含めた単一健保です。
2021年3月末時点で被保険者が約15,000名、扶養者が約16,000名が加入しています。

現在の保健事業における課題について教えてください。

アサヒグループ全体では酒類、飲料、食品等の製造販売と標記されることが多いですが、実際は物流や外食など多種にわたる職種のグループ会社があります。
例えば事務職と工場やトラックドライバーなどの非事務職では健康リスクは異なると思いますし、事務職の中でも管理部門と営業部門では自分の生活リズムのつくりやすさが異なります。
このように業種・職種ごとに環境が大きく異なるため実態把握が難しく、健康管理は個人に委ねられているのが実態です。ですから、グループ会社一律で健康リスクをとらえるのではなく、職場の環境に応じて個々に対応していく必要があると考えています。

これまでは経営側が社員の健康状態を把握することが難しく、社員の健康に対する認識が低い状態でした。また、社員においても生活習慣病に対するリテラシーが低いため、改善する意識が低かったのでないかと思います。
全ての事業所の社員の健康状態を見える化し、経営者と社員双方で健康状態を把握した上で安心安全な職場環境の確保すること、また制度などの見直しを行って社員が自ら積極的に取り組める健康施策を提供していくことは事業主と健保にとって大きな課題でした。 

事業所別健康レポート導入を検討された経緯について教えてください。

導入を検討した理由は3つあります。

先ず個人的な話ですが、健保へ来てから健康のことを真剣に考えるようになりました。私は健診データでは飲酒習慣のリスクが高い状態でしたが、以前はある程度健康には注意しようとしてはいるものの、大きな健診値の改善はありませんでした。
健保に来てからは、コロナ禍以前だったため懇親会が盛んにありましたが「お酒はサイズを問わず3杯まで」と具体的な数字を自分で決めて、それ以上はノンアルコール飲料やソフトドリンクにすることにしました。数字を意識して生活習慣改善に取り組むことで目に見える形で健診値に変化がありました。
この経験から、数字に対する原因を把握し効果的に行動するデータヘルスが重要だと改めて感じました。

次に、厚生労働省・経済産業省・日本健康会議が連携して作成する健康スコアリングレポートが参考になりました。スコアリングレポートは他健保と当健保を比較して作成されており、生活習慣・企業風土の影響を見ることができます。同様に、当健保内でも各社別に比較ができれば面白いと感じました。そのデータをもとに事業主と課題を共有できれば、職場の健康環境改善に取り組めると考えました。

最後に新型コロナウイルス感染症の影響です。テレワーク等の導入で生活環境が大きく変わり、運動習慣、食事や飲酒習慣、睡眠を含めたメンタルヘルス等への影響が気掛かりでした。また、保険給付費が下がり受診控えが起こっていることが考えられました。そのため、2020年に健康状態がどのように変化しているのかを客観的に把握する必要があると考えました。。

レポート作成にあたってどのように進めましたか?

これまでは健保で自作のレポートを作成していましたが、

・手間がかかる
・事業主に十分に納得いただけるものが作れない

といった問題があり、外部の力を活用することにしました。

委託先選定にあたり、2020年秋頃から検討を始め複数の業者の提案を受けましたが、既成のレポートを作成するという提案のものが多く、事業主へわかりやすく伝えられるイメージができませんでした。
JMDCとはそれまで取引実績はありませんでしたが、職種が多様であることを踏まえて事業主が健康課題を認識しやすいデータを作成し、当健保の能力を理解した上で一緒に取り組もうとしてくださっていると感じました。

また、レポートの作成にあたり、JMDCにはこれまで様々な健保に合わせて作成した多くのサンプルがあり、その中からイメージに合うものを選択すれば完成形に近づくということで、初めて取り組むには実に有難かったです。
たくさんのサンプルをご提案いただく一方で、当健保の実情に合わせてオーダーメイドのカスタマイズもお願いできることも強みだと感じました。

レポートをどのように評価していますか?

事業所別健康レポートの仕上がりにはとても満足しています。
健保としては自作のレポートを作成する手間ががなくなり、コロナ禍において出社を減らすことにもつながりました。

一方で、当健保にとっては初めての取組みであったため各事業主へ十分な説明が必要だと感じました。
そのため、JMDCからレポート説明会の提案を受け、営業担当と保健師の方から全国の事業所の健康責任者および産業看護職に対してオンライン説明会を実施いただきました。

事業主の反応はいかがでしたか?

説明会実施後にアンケートをとりましたが、概ね高評価でした。

主な意見として、

「とてもわかりやすい説明で、各事業所の特性も踏まえてあるため現状把握と課題認識を共有する機会となった。」
「飲酒に関する特徴は把握していたが、それ以外の健康リスクについても気づかされた。」
「健康年齢®も指標としてわかりやすい。こういった比較できる指標はよい意味で健康度を事業所間で競うきっかけになる。」
「健診結果の問診を産業看護職が集計、分析することが負担であったが解消された。」
「今後このようなレポートが毎年頂けるのであれば、独自で集計していた結果表は中止し、本レポートの結果をもとに各事業所の健康課題を認識したほうが良い。」

といったものがありました。

事業主と、事業所別健康レポートと言う共通言語ができたことで、健康に対する課題認識を合わせることができたと感じています。
昨年、グループ会社を取りまとめるホールディングス社に健康支援センターという部署もできました。事業主側で課題を共有していただき、健康支援センターと共同で課題解決していただくようにお願いしています。

今回の取り組みを踏まえ、今後はどのようなことを行なっていきたいですか?

今回事業所別健康レポートを作成した目的は職場の健康状態を客観的に見ていただくもので、いわば「鏡」といえるものです。人間は自分にとって都合の悪いことはなかなか受け入れにくいですし、他人から指摘されると反発が起こる可能性もあります。
しかし、自分の姿を自分で見て気づいたことは素直に受け入れるのではないでしょうか。鏡に映った姿を見て、次は行動していただきたいです。具体的には、健康増進キャンペーンへの参加や特定保健指導の受診を推進していきたいと思います。

また、事業所ごとの健康レポートだけでなく個人ごとの健康レポートを導入し、健康に対して正しい理解をしてもらう機会を作っていきたいと考えています。
私の場合は健保に来たというきっかけにより健康に対して正しい理解をしましたが、そのようなきっかけを作り、個人が健康に対して成果をあげられる仕組みを準備していきたいと思います。

加入者の皆さまにはどのような思いを伝えていきたいですか?

「人生100年時代」では、企業で働く時間の割合は少なくなるかもしれません。しかし、職場で培われた生活習慣がその後の豊かな人生につながってまいります。また、従業員を支えている家族もアサヒグループの経営を支える大切な関係者です。
働いていただく間は、健康保険組合と事業主が積極的に連携し、加入者(従業員・家族)の予防・健康づくりをサポートしたいと考えています。

コラボヘルスをこれから推進されようとしている他保険者へのメッセージをお願いします。

コラボヘルスを実践するためには、データを活用して事業主側に理解と共感を得ることが必要です。当健保でもこれまでレセプトや健診データの分析に取り組んでいましたが、課題が曖昧なままで解決には至らないことも多くありました。
今回JMDCに依頼して当健保の課題発見に適したデータの見せ方を選んだことで、グループ各社の健康状態の特徴が端的に把握できるようになりました。課題が明確になり、健保と事業主、ホールディングス社と各会社で共通認識ができれば解決につなげられると思います。コラボヘルスの実践にお悩みの方は、健康レポートをきっかけとして、事業主との協力体制を構築していけば良いのではないでしょうか。

ありがとうございました。

取材日:2021年10月14日


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