保険者インタビュー・導入事例

健保と連携しICTツール活用で攻めの健康経営を

インタビューイー様のご紹介

西部ガスホールディングス株式会社 人財戦略部 人事サービスグループ
西 秀仁 様
(写真右)
2018年入社後、人財戦略部人事サービスグループ所属

福島 陽 様(写真左)
グループ会社からの出向により、2021年4月より人財戦略部人事サービスグループ所属

人財戦略部は採用、社員教育、人財戦略のビジョンの策定を管轄。
お二人が所属する人事サービスグループは、従業員サービス全般(給与、福利厚生制度の企画・運用、健康経営など)を担っている。

※取材日は金曜日。西様が企画した「カジュアルフライデー」の取り組みにより、自由な服装で取材に応じていただきました。

事例概要

健康経営に真摯に取り組み、JMDCが提供するICTツール「Pep Up」を健保と連携して積極的に活用されている西部ガスホールディングス株式会社様。

健康経営の体制や健保との連携、Pep Upの活用方法について人事戦略部の西様・福島様にお話を伺いました。

西部ガスホールディングス株式会社様について教えてください。

北部九州(福岡県、長崎県、熊本県)の主要都市で都市ガス事業を行っている会社で、創立92年になります。2021年4月より純粋持株会社体制に移行し、西部ガスホールディングス株式会社に商号変更しました。
従業員は、西部ガス株式会社単体で約1,500名、グループ会社を合わせると約3,000名です。半数以上が福岡市で勤務しています。

2019年度より健康経営に力を入れられた経緯について教えてください。

2016年に発生した熊本地震の際、従業員が災害対応に追われて心身ともに健康状態が悪くなってしまったケースがあり、労使共通の課題認識として一人ひとりの健康に対する意識改革の重要性を協議してきました。
経営者側としても従業員の年齢層が高く健保財政への懸念がありまして、健康経営を始めることにしました。

当時九州で健康経営をしている企業はほとんどなかったため、東京の企業などへもヒアリングを行いました。
そして2018年度から周知を行い、2019年4月に健康経営宣言をして「健康づくりサポートブック」を従業員全員に配布しました。
サポートブックには健康経営の体制や社長からのメッセージの他、健康リスクや疾患に関する情報発信、健康診断の結果を経年で記入し目標を立てる欄も掲載しています
健康経営の考えに触れてもらうことを目的としてサポートブックを配布しましたが、人財戦略部で企画するセミナーや健診にサポートブックを持ってきてもらうことで社員の目に触れやすいツールとなり、健康リテラシーも向上したと感じています。

健康経営の体制について教えてください。

健康経営に関する基本方針等は中央安全衛生委員会で検討、健康経営最高責任者である社長が決定し、各地区安全衛生委員会を通じて各職場に周知・実施しています。
中央安全衛生委員会は人財戦略部、各事業所の総務部の管理職、労働組合代表、健康保険組合で構成されています。年1回スケジュールや従業員側からの要望の確認、数値目標に対する進捗の報告や方針の決定を行っている他、労働組合とは随時情報交換を行っています。

健保との連携はいかがですか?

元々、健保は人事サービスグループの内部にあった組織で兼務出向という体制だったため、健康経営を始める前から連携は密にできていたと思います。現在も健保の理事会にもオブザーバーとして参加させてもらっています。

レセプトデータなど健保しか持っていない情報も多いため、データ分析や課題抽出を健保にしてもらい対策は会社で行うという体制をとっています。財政的に健保は新しい施策を行いづらいですが、課題を連携してもらえれば会社は従業員へ伝えやすく動きやすい組織だと感じています。

健康経営を始める前から会社でも健康管理や予防策には何十年も取り組んでいて、各地区の事業所には医療職がいます。グループ会社も含めて全社員にそれぞれ担当保健師がつき、健康診断の結果を確認したり毎年面談を行ったりしていて、地区の異動がなければ経年で見てもらうことができます。重症化リスクが高い従業員に対しては健保から特定保健指導を行いますが、各地区の医療職は健保と兼務しているため担当保健師がそのまま受け持ちます。
予防は会社、重症化予防は健保とすみわけをしていますが、会社からも受診勧奨などで健保の取り組みをサポートしています。

健康経営の取り組みの柱を4つに設定されていますが、どのように選んだのでしょうか?。

健保と連携しながらJMDCが作成したデータを用いて課題の分析を行いました。
問診項目から従業員の健康状態を見ると、飲酒・食生活・喫煙・運動リスクのリスクが高く、「九州男児」のイメージにぴったりだと感じました(笑)
そして課題を労使で検討した結果、「生活習慣改善」「運動習慣の定着」「メンタルヘルス対策」「健診実施率の向上」の4つを健康経営の柱として決めました。
喫煙率や飲酒量に課題があった他、特に若手社員で朝食を食べないことが多いとわかり、生活習慣の改善を掲げました。

また、運動不足が原因で転倒災害が増える懸念があり、運動習慣の定着を入れました。

メンタルヘルスに関しては、休職者の割合は低いものの長期で休職する人が多いことが課題としてありました。健康経営を始めてから休職者数を減らすのではなく早く受療して早く復帰できるようにするべきだと考えが変わり、目標の方向性は「休業日数の減少」としました。
健診受診率は従業員ではほぼ100%なので、被扶養者に対する取り組みを強化しています。具体的には、従業員に対して家族と一緒に受けてもらうように呼びかけたり、Pep Upを活用して周知したりして、現在は受診率が75%を超えています。家族の健康は従業員の生きがい・働きがいにも関わるので、会社としても重要な取り組みだと考えています。

喫煙対策については、2021年4月に就業時間内禁煙を始めました。
従業員は50代男性が多く、コミュニケーションツールとして吸う人もいるため、反発があるのではないかと予想していました。しかし、社会情勢や喫煙スペース減少の影響、また就業時間内禁煙を始める前から禁煙外来の周知をしていたこともあり、2018年度に32.6%だった喫煙率は現在約26%まで減りました。
また、健康経営を始めるにあたって経営層にも禁煙施策を理解してもらい、社長と役員数名が禁煙しました。トップダウンで進められたことも喫煙率が減少した大きな要因だと思います。

健康経営においてPep Upをどのように活用していますか?

Pep Upは、医療費通知など事務手続きのオンライン化を目的に、2018年に健保主導で導入しました。会社としても健康リテラシーを向上させたいと考えていたので、社員への周知や登録促進などでサポートしました。
現在社員(被保険者)の登録率は90.6%です。

健康経営においては、会社側で年数回ウォーキングラリーを企画してインセンティブを付与しています。
また、朝食を抜く社員が多くいたため、2021年度には食生活改善イベントを開催しました。1日3食を写真撮影してPep Upをアップロードしてもらい、それを1ヶ月続けるとインセンティブを与えるという内容です。

他にも、線虫がん検査を行った際にも申し込み手続きをすべてPep Upで完結することができました。以前は社内イントラを使って発信していましたが、Pep Upを利用することでより便利になったと感じています。

2022年春に行ったウォーキングラリーでは新たな施策を導入されました。内容や反響はいかがでしたか?

JMDC社員とともに博多の街を歩き、その様子をマップにしてもらい社内に展開しました。
実際に歩いてみて、ウォーキングラリーの目標となっている8,000歩が見慣れた場所だとどれくらいの距離なのか、歩くのにどれくらいの時間がかかるのか実感がわきましたし、マップを作成することで社員にもわかりやすく示すことができました。

今までのウォーキングラリーは健康増進やチームでのコミュニケーションを目的としていましたが、今回はマップを見ながら歩くことで楽しみながら自然と8,000歩達成できる点が面白いと感じています。
JMDCとオリジナルで作成した博多ウォーキングマップ
マップについては、社内で情報発信したり各フロアの目立つところに貼ったりしているのですが、反響が大きくエレベーターの中などで「見たよ」と声をかけられることもあります。「実際に歩いてみようかな」と言ってくれる人もいてとても嬉しいです。実際に福岡エリアの社員の参加率は上がっています。
ウォーキングラリー終了後にはアンケートをとり、歩いてみてどうだったか、歩いていて見つけた飲食店や名所はあったかなどを集計して、社員へ共有する予定です。

今後は博多だけでなく各拠点で同様のマップを作りたいと考えています。
また、九州の他の企業との対抗企画も面白いのではないかと思っています。
社内での掲示の様子

今後の健康経営の展望について教えてください。

これまでは健保財政を見ながら「守り」の健康経営をしてきましたが、今後は働き方やダイバーシティ&インクルージョン*などとも連携をして生産性を高める「攻め」の健康経営の取り組みをしていきたいです。

*ダイバーシティ&インクルージョン:女性、若者や高齢者、LGBT、外国人、障がい者などの多様性を受け入れ、あらゆる人材がその能力を最大限発揮でき、やりがいを感じられるようにすることで企業の活力とする考え方

そのための土台作りとしてPep Upを健康経営のプラットフォームとして活用するため、2022年度にはPep Upの登録を義務化する予定です。Pep Upを登録してもらうことで、社員が自身の健康状態を把握したり会社が情報発信したりすることが容易になります。そこからウォーキングや食生活などのイベントに繋げていくという仕組みを構築することで健康文化を醸成していきたいと考えています。

ありがとうございました。



取材日:2022年3月25日


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