保険者インタビュー・導入事例

健保がつくった土台と事業所の熱意の相乗効果で進めるコラボヘルス

インタビューイー様のご紹介

静岡県信用金庫健康保険組合 常務理事
山﨑 利久 様(写真前列中央)

静岡県信用金庫健康保険組合 課長
橋本 知代子 様(写真前列右)

静岡県信用金庫健康保険組合
川口 加織 様(写真前列左)

静清信用金庫 人事部 副部長
多々良 和明 様(写真後列右)

静清信用金庫 人事部 主任
大石 彩子 様(写真後列左)
導入の背景

加入する全ての信用金庫にアンケートを実施した際に、健診受診率などは高くても結果の集計・分析のノウハウがないとの声が聞かれました。そこで健診やレセプトなどのデータ分析を行い、各事業所の健康課題の把握や具体的な推進策の立案等をフォローしていくことがコラボヘルスを強化していく上で極めて重要になると思い、事業所別分析レポートの提供を始めました。また、健康課題の改善に向けて被保険者にどうアプローチしていくかが課題だと感じ、Pep Upの導入を決めました。

導入の決め手 Pep Upは健康リテラシー向上のためのコンテンツが充実していること、らくらく健助を利用していたこと、静岡市が健康年齢を導入していたことからJMDCへの信頼は厚かったです。
導入後の効果

どの事業所でもレポートを活用していただいていますし、ほとんどの金庫が健康経営に力を入れているので内容の理解も早いと感じています。また、Pep Upで健康年齢を見られることで一人ひとりが生活習慣病に気をつけて健康に近づけると思います。

事例概要

事業所別レポートやPep Up(JMDCが提供するICTツール)をコラボヘルス・健康経営において存分に活用されている静岡県信用金庫健康保険組合様と静清信用金庫様。
今回の特集は初の健保様・事業主様への同時インタビューということで、どのようなレポートを作成しているのか、Pep Upをどのように施策に役立てているのか、双方の視点からお話を伺いました。

静岡県信用金庫健康保険組合様について教えてください。

静岡県信金健保・山﨑様:
静岡県にある9つの信用金庫と20の関連会社が加入している総合健保です。健康経営に力を入れている事業所が多く、現在は9金庫中5金庫が健康経営優良法人(大規模法人部門)に認定されています。
被保険者は約7,000人、被扶養者は約5,000人です。デスクワークが多いことから、運動習慣がない加入者が多いことが当健保の課題です。

静清信用金庫様について教えてください。

静清信金・多々良様:
静清信用金庫は静岡県中部を拠点とする信用金庫で、今年で創立100周年を迎えました。
42店舗を構え、役職員数は2022年3月末時点で549名です。
健康経営優良法人2020から3年連続で認定を受けた他、2021, 2022は2年連続で「ホワイト500」にも認定されました。

静清信用金庫様が健康経営に力を入れた経緯について教えてください。

静清信金・多々良様:
職員は最も重要な経営資源ですから、一人ひとりの心身の健康が大切です。また地域に根ざした信用金庫として健康経営の取組みを対外的にも啓発していくことで、その影響は職員の働き方や生活だけでなく、地域やお客さまへも繋がっていきます。
特に若い人は職場の働きやすさを重視していることも多いですから、健康経営を掲げることで働きやすさが可視化されますし採用にも良い効果があると感じています。
静清信用金庫様ウェブサイトより(※2022認定当時のもの)

健保ではコラボヘルスに関して課題感があったのでしょうか?

静岡県信金健保・山﨑様:
2017年に全ての信用金庫にアンケート(予防・健康事業の実施状況、重症化予防の取組状況、衛生管理・健康増進推進体制など)を実施したことがあります。その結果、健康管理を担当する部署がちゃんとある、衛生委員会など健康管理に関する会議を定期的に行っている、など健康管理の体制は整っていることがわかりました。
一方で、健診受診率などは高くても結果の集計・分析のノウハウがなく、健康課題の把握や具体的な推進策の立案が難しいとの声が聞かれました。
そこで2018年度に導入した「らくらく健助」(※編集者注:JMDCが提供する分析ツール)などを活用して、健診やレセプトなどのデータ分析を行い、各事業所の健康課題の把握や具体的な推進策の立案等をフォローしていくことがコラボヘルスを強化していく上で極めて重要になると思い、事業所別分析レポートの提供を始めました。

事業所別レポートの内容を教えてください。

静岡県信金健保・橋本様:
3部構成で直近と前年度のデータを比較できるようなレポートを作成しています。
1部は医療費分析で、健保全体医療費推移、事業所別一人あたり医療費の推移、疾病別総医療費などを載せています。
2部は健診・レセプト分析の結果を健康年齢、健診・問診レーダーチャート、健康マップなどで示し、各事業所の健康状態を分かりやすく伝えています。
3部は特定健診受診率、特定保健指導実施状況、受診勧奨通知後の受診状況、喫煙者推移、Pep Up登録率、ウォーキングチャレンジ参加目標達成状況など、健康行動の分析結果を掲載しています。
また、それぞれの分析結果から、各事業所の傾向と課題などについて私と川口でコメントを考えて記入しています。

現在、加入している9金庫のうち5金庫が健康経営優良法人に認定されている状況ですので、事業所別レポートも健康経営優良法人の申請に間に合うように作成して健保がサポートしています。具体的には、4月末に健診データが揃うので5月頃からレポート作成を始め、9月から各事業所を訪問して内容説明するというスケジュールです。

事業所に共有した際の反応などはいかがですか?

静岡県信金健保・橋本様:
どの事業所でもレポートを活用していただいていますし、ほとんどの金庫が健康経営に力を入れているので内容の理解も早いと感じています。
また健康年齢はどこも関心が高く、これまで健康年齢を課題としていた事業所がウォーキングチャレンジなどの施策に積極的に取り組んだことで大きく健康年齢が改善するなど、如実に結果が出てきています。特定保健指導の対象者も減少傾向です。

静岡県信金健保・山﨑様:
健康経営の担当者は一生懸命旗を振ってもこたえてもらえないことも多いので、レポートを用いて理事長などに直接説明するとトップのバックアップを得ることができて、担当者も健康経営の推進がしやすくなるのではないでしょうか。
また、レポートにより健保自身の課題もわかってきました。例えば、当健保組合の健診補助対象外であった30歳未満の健診について、事業所からデータをいただくようにしました。これにより、全被保険者の健康状態の把握が可能となりましたが、その結果、健保全体で糖尿病リスクが高いことがわかり、もともと行っていた30歳以上を対象とした生活習慣病健診や人間ドックなどの補助に加えて、随時血糖検査が多かった30歳未満の健診にHbA1c検査の全額補助を新たに始めました。
事業所別レポートにより、コラボヘルスの推進だけでなく健保の課題の可視化という当初の期待以上の効果が得られました。

レポートの提供について、事業所側のご意見はいかがですか?

静清信金・大石様:
事業所別レポートは健康経営において基礎になっていて、この内容をもとに当金庫の健康課題を把握して具体的な施策を検討しています。健保全体のデータと比較して課題が見えてくることも多いです。また喫煙率などの結果に関しては、産業医に相談するなどして活用させてもらっています。

静岡県信金健保・山﨑様:
健康経営の指標は毎年変更されるので、それに基づいてレポートの内容も変えていく必要があると考えています。もちろん経年推移でデータを見ることも必要ですし、健康経営の指標は健保の保健事業の指標とも密接に関わっているので、大きく内容を変更することはしませんが。

Pep Upも導入していただいていますが、導入の経緯について教えてください

静岡県信金健保・山﨑様:
事業所別レポートにより各事業所の健康課題は把握できましたが、次の問題はその健康課題の改善に向けて被保険者にどうアプローチしていくかです。
ちょうどその頃にJMDCからPep Upの案内をもらい、健康リテラシー向上のためのコンテンツが充実していると感じたことから2019年に導入しました。らくらく健助を利用していたことや静岡市が健康年齢を導入していたこともあり、JMDCへの信頼は厚く理事会・組合会でも説明がしやすかったです。
ウォーキングチャレンジなどのイベントを実施するには人手、コスト、時間がかかりますが、Pep Upを導入してICT化したことで保健事業も健康経営も効率的に進められるようになったと感じています。

静清信用金庫様にお尋ねします。Pep Upの印象はいかがでしたか?

静清信金・多々良様:
理事会・組合会で山﨑常務から健保の課題や健康経営の重要性を聞いていたので、Pep Upの案内があった際には良いものだと感じました。健康経営を進めていく上で健保に仕組みを作ってもらえたことは有難かったですし、取組み初年度の健康経営度調査にもPep Upを活用した取組みばかり回答しました。
職員全員が健康に関心があるわけではないので初めのうちはアプリを入れるだけの職員や登録のための通知を無くしてしまう職員もいましたが、本当に良いものだと考えていたので何度も声かけし、粘り強く登録率を上げていきました。

静清信金・大石様:
アプリの操作に疎い人もいて、私が一緒に登録作業をやったこともあります。新入職員に関しては、登録通知を渡すときにその場で登録してもらっているので登録率100%です。

静清信用金庫様全体で登録率99%以上とのことですが、登録率アップの秘訣はなんでしょうか?

静清信金・多々良様:
健康経営を始めた年に健保から案内されたPep Upでの「しんきんけんぽウォーキングチャレンジ」に全役職員で参加することにし、参加するためにはPep Up登録が必須であることから登録率が上がりました。
Pep Up登録者のうち9割以上がウォーキングチャレンジに参加し、驚くほど盛り上がりを見せました。昼食後に歩きに行く人もたくさんいました。

静清信金・大石様:
部店ごとにチームを組み、ウォーキングチャレンジ中に定期的に当金庫内のランキングを発表したので、職員の闘争心が燃えたのかなと思います。健保が用意したインセンティブとは別に、上位のチームには当金庫独自の表彰も行いました。部店の中に一人はやる気がある人がいて、声かけしてみんなで楽しくやっているようです。

静清信金・多々良様:
最近では上位入賞を目指し、よく歩く人たちで選抜チームを作る部署もあります(笑)強制はしていないのですが、予想以上に歩くようになった人が増えました。

静岡県信金健保・川口様:
静清信用金庫さんは導入当初から熱意を持って取り組んでいただいています。

静岡県信金健保・橋本様:
初年度に部店対抗で実施するという土台ができたので、次年度以降も登録率・参加率向上に繋がったのではないでしょうか。この仕組みをそのまま他の事業所にも伝えています。

健保様ではPep Upではウォーキングラリー以外ではどのような取り組みをしていますか?

静岡県信金健保・川口様:
4月から健康クイズ(健康に関するクイズへの回答でポイントインセンティブを付与)を実施し、同時に初回登録ポイントキャンペーン(Pep Upへの登録でポイントインセンティブを付与)を行っています。秋には新入職員への登録通知の配布と合わせてもう一度初回登録キャンペーンを行い、その後ウォーキングチャレンジが始まります。健診は年間通して受診でき、受診して2-3ヶ月後に健診結果改善チャレンジ(前年度からの健診結果の改善度合いに応じてポイントインセンティブを付与)の結果が反映されます。

静清信金・大石様:
健康経営の指標にも絡んでくるので、健康クイズは参加するように声かけをしています。

静清信金・多々良様:
事業所独自ではなかなかお金をかけていろいろな施策ができないので、健保でイベントを実施してもらったりPep Upに新しい機能がどんどん追加されたりするのは助かっています。

静岡県信金健保・川口様:
今後はやることチャレンジ(指定した”やること”の実施でポイントインセンティブを付与)の導入も検討しています。一度健保職員のみでテストし、その後各事業所の健康管理担当者でモニター実施して意見を集めているところです。うまくいけばお正月で生活習慣が乱れた後の1月頃から加入者に展開できる見込みです。
Pep Upを日々使ってもらうことを意識して施策を考えています。

静岡県信金健保・橋本様:
Pep Upで新しい機能を導入するときは、まず健保内でテストして慎重に進めるようにしています。そうすることで、加入者からの問い合わせにもちゃんと対応できます。

静岡県信金健保・川口様:
テストの際は細かくスクリーンショットを撮って、スマホが苦手な人でも使えるように操作マニュアルを作っています。

Pep Upをどのように評価していますか?

静岡県信金健保・橋本様:
健康年齢を見られるのが良いと思っています。静清信用金庫さんも健康経営の指標の一つに健康年齢と実年齢の差を入れていますが、健康年齢を意識するだけで一人ひとりが生活習慣病に気をつけて健康に近づけると思います。
今後はアクティブユーザー数を増やしたいので、健保から発信して事業所のイントラなどに掲載してもらっている「壁新聞」でPep Up特集号を組むなどして盛り上げています。

静清信金・大石様:
Pep Upの機能もそこから取得されるデータも活用させてもらっています。また、困ったことがあったときにJMDCのPep Up事務局に問い合わせると、すぐ返事をもらえるので助かっています。

静清信金・多々良様:
使ったことのないアプリをいくら良いと言っても伝わらないので、まず登録してもらって使ってもらいたいと思っています。登録率向上に向けては、経営トップの理解があると進めやすいと感じています。

コラボヘルス・健康経営を進めたい健保・事業所へメッセージをお願いします

静清信金・大石様:
健康経営優良法人に3年連続で認定されたことで、職員の理解も深まり意識が高まってきていると思います。特定保健指導の参加勧奨や医療機関受診勧奨にポジティブに反応してくれる職員が増えてきました。

静清信金・多々良様:
健康経営優良法人「ホワイト500」に認定されたことで、地域大学や企業から新たな施策の提案を受けるなど対外的にも影響があると感じています。
健康経営は単独で進めるのは難しいですから、健保と一緒に取り組んでいくことが大切です。

静岡県信金健保・山﨑様:
健保の弱みは本人へのアプローチで、そこに対して一番効果があるのは事業所の声かけや職場環境です。ただ、事業所側はなかなか健康経営を進めるノウハウやツールがないので、そこは健保がサポートすることでお互いの強みを活かし弱みを補完できると思います。当健保で3-4年でここまで効果が出たのは事業所の努力のおかげです。静清信用金庫さんが先進的にPep Upを活用してくれたことで、他の事業所にもノウハウが広がってきています。
特に総合健保はコラボヘルスを進めるのが難しいかもしれませんが、Pep Upは導入しやすいですし取り組みやすいのではないでしょうか。

ありがとうございました。

取材日:2022年8月25日


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