保険者インタビュー・導入事例

総合評価指標144点を達成!
カギはデータ活用によるコラボヘルス

インタビュイー様のご紹介

鷹見 則茂様(写真左)常務理事 
鳥居 慶一様(写真右)事務長 
三井 公様 (写真 中央)

事例概要

2022年度における保険者機能の総合評価指標で144点という高得点を獲得した愛三工業健康保険組合様。成功要因は「らくらく健助」「Pep Up」を活用した事業主とのコラボヘルスにあるといいます。コラボヘルス推進体制や2種類のツール活用法など、具体的な実践方法を詳しく伺いました。

プロフィール

愛三工業健康保険組合
 被保険者

 約3,511人(男性2,985人、女性526人)

※2024年3月末時点

 

特徴:被保険者は事務職、技術職のほか、夜勤のある工場勤務の製造職も約3割を占める。「ゆくゆくは職種ごとの健康課題に即した対策も」。

既存ツールでのデータ分析に限界 アプリ活用は健康経営上の要望も

三井様:
先に導入を検討していたのはデータ分析支援ツールでした。国からも分析ツールを活用した保健事業のPDCAの重要性が強調されるようになり、私たちとしてもその必要性を感じてはいたものの、既存のシステムは扱いづらく、自前での分析に限界を感じていたんです。これが「らくらく健助」導入のきっかけでした。

鳥居様:
健康経営を本格化させていた母体企業から「従業員向けのヘルスケアアプリを導入したい」との相談が入りました。健康経営度調査にアプリ活用に関する評価項目が複数あることが後押ししていたようです。私たち健保もかねて導入を検討していたものの、決め手がなく導入決定まで至らなかった経緯があったため、これをきっかけに2019年「らくらく健助」と連携して活用できる「Pep Up」を2020年に導入しました。

参考:健康経営度調査の「アプリ」に関する項目の一例(令和4年度)

 

3.制度・施策実行 ②健康経営の実践に向けた土台づくり

Ⅰ. ヘルスリテラシーの向上

Q43.従業員のヘルスリテラシー向上のために、健診情報等を電子記録として活用するための取り組みを行っていますか。

 

Ⅱ. 具体的な健康保持・増進施策

Q52.運動習慣の定着に向けた具体的な支援(研修・情報提供を除く)として、どのような取り組みを行っていますか。

 

医療費からリスク者まで自在に抽出 事業主へもデータ提供

鷹見様:
「らくらく健助」によるデータ分析は、コラボヘルスを含む保健事業の施策立案、運営、評価に活用しています。また事業主と個人情報に関わる覚書を交わし、健康経営の戦略立案上必要なデータを提供したり、事業主側で行う施策の対象者を抽出したりもしています。

三井様:
最初はJMDCにサポートしてもらいながらでしたが、今では自分たちだけで必要なデータを必要なときに出せるようになりました。もう「らくらく健助」なしにはデータ分析はできないですね。

愛三工業健保が「らくらく健助」で活用している主なデータ

 
  • 年間医療費総額
  • 一人当たり年間医療費
  • 特定健診受診率
  • 特定保健指導対象者数
  • 重症化リスク者数 など

 

受診勧奨通知を効率化 効果検証までワンストップに

鳥居様:
健保の業務効率化にも役立っています。例えば、受診勧奨通知を送る際、従来は対象者の抽出から住所への紐づけ、資格情報の確認、印刷、封入、発送という一連の流れがすべて手作業で膨大な負担がかかっていましたが、現在は「らくらく健助」内のデータで対象者を抽出し、JMDCに依頼するだけ。かなり楽になりました。また以前は受診率などのデータもまとめきれておらず「通知は出しっぱなし、健診もやりっぱなし」になりがちでしたが、今ではしっかり効果検証まで行えるようになりました。

加入者とのコミュニケーションを活発に
ペーパーレス化も実現

三井様:
「Pep Up」は健康イベントの実施はもちろん、加入者と健保組合を直接つなぐコミュニケーション手段として重宝しています。これまで健保の広報誌や事業所の朝礼資料にお知らせを掲載していたときはなかなか目に留めてもらえませんでしたが、「Pep Up」では各個人にメールでお知らせを届けられるので見てもらいやすく、反応も増えました。

鳥居様:
そのほか「医療費のお知らせ」もすべて「Pep Up」で送る運用にし、業務のペーパーレス化を推進できています。

鷹見様:
こうした活用法を重視している分、加入者に情報が確実に行きわたるよう「Pep Up」の登録率向上には力を入れてきました。特に導入当初は登録率目標を70%に設定し、事業主と合同の「Pep Up担当者会議」を数カ月にわたって定期的に開催。事業主側の部長クラスから被保険者(従業員)へ案内してもらうようにし、目標の達成度も追うようにしていましたちょうど事業主がトップダウンで健康経営宣言を発信し、健康づくりに向けて社内の空気を醸成してくれていたおかげもあって、浸透はしやすかったです。

特定保健指導対象者が2年間で2.1%減 
コラボヘルスが総合評価指標に好影響

鷹見様:
こうした保健事業の取り組みが実を結び、2022年度は保険者機能の総合評価指標で144点という高得点を獲得できました。この理由は、やはりコラボヘルスという形で事業主を巻き込んだ取り組みができているからだと考えます。

例えば、現在、従業員の特定健診・特定保健指導は健保組合と同じくらい、事業主が積極的に取り組んでいるんです。具体的には、まず被保険者には人間ドックの受診を推奨し、特定保健指導も人間ドックの受診先で受けてもらうように。人間ドックの受診費用は健保が7割、事業主が3割負担し、本人は原則無料で受けられるほか、一部の事業所では公休の「人間ドック休暇」を設定しているなど、受診環境を整えています。これにより、現在では対象者(35歳以上)の約7割が人間ドックを受診しています。
さらに健康経営の推進以降は産業医と連携し、事業主側でも特定保健指導を実施。その結果、対象者の健康状態改善、または適切な治療への移行が進んでおり、ここ2年で特定保健指導の対象者を2.1%減らすことに成功しています
こうした取り組みが配点の高い「大項目1 特定健診・特定保健指導の実施(法定の義務)」のほか「大項目5 がん検診・歯科健診等(人間ドックによる実施を含む)」などに影響したのではないかと考えます。

鳥居様:
関連して、コラボヘルス開始以降は若年者(35〜39歳)向けの「プレ特定保健指導」を始め、特定保健指導への新たな流入防止を図っています。この施策では、健診データから抽出された対象者が業務時間中に丸一日、出張扱いで保健師による「健康づくり教室」に参加し、講義の受講を踏まえて生活習慣を見直して行動目標を設定します。
4月の測定値を基準にして、6~9月に各自が受診した人間ドックや定期健診の結果で効果測定し、2回ほど保健師によるフォローを行い、生活習慣の改善を目指します。実施に当たっては事業主側の担当者や産業医と密に連携し、実務面の細かな調整を重ねています。
実際に成果も出ており、若年層予備軍の実績ですが、-2㎏・-2㎝達成割合は45.2% -2㎝達成割合は93.5%、-1㎏・-1㎝ですと、64.5%達成しています。

三井様:
正直なところ、保険者インセンティブの上位を狙って特別なことをしてきたわけではないんです。私たちはあくまで加入者の健康のために、事業主との連携体制を整えて実効性の高い保健事業の在り方を追求しているだけ。その継続と積み重ねが、結果として高得点につながったのだと考えています。


保健事業はあくまで加入者志向 重症化予防対策も検討したい

鷹見様:
JMDCのおかげで、データ分析や健康イベントの実施、加入者とのコミュニケーションなど保健事業に必要なICTツールはそろいました。次はイベントの参加率を上げていくのが直近の目標です。

鳥居様:
さらに中長期的には糖尿病関連の重症化予防にも着手できればと考えています。保険者インセンティブを意識してない分、現時点ではこの領域に関連する大項目2を達成できておらず、せっかく高得点を取れているにもかかわらず減算対象になれていないんです。マンパワーとの兼ね合いもありますが、第4期に向けて事業主にも協力を仰ぎながら検討を進めたいです。

三井様:
とはいえ、あまりインセンティブの項目にとらわれすぎないようにするスタンスは変わりません。インセンティブに振り回されると肝心の加入者が置き去りになってしまう懸念もあります。保健事業の目的はあくまで加入者の健康のため。その原点を今後も見失わないようにしたいですね。

インタビューを終えて

「加入者の健康を追求すれば総合評価指標でも上位になれる」という、保険者インセンティブ制度の根底を体現されている愛三工業健保様。コラボヘルスの推進体制や事業運営の役割分担なども非常に実践的なノウハウが満載で参考になりました。
改めて、このたびはインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。




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