保険者インタビュー・導入事例

特定保健指導実施率80%超を達成
コラボヘルスでWin-Winの関係を築くコツ

インタビュイー様のご紹介

株式会社ポーラ・オルビスホールディングス 
HR室 健康経営タスクフォースリーダー 星野 祐樹様(写真左) 

ポーラ・オルビスグループ健康保険組合 
常務理事     原田 一徳様(写真中央)
上級アドバイザー 竹中 俊明様(写真右)

事例概要

ポーラ・オルビスグループ健康保険組合では、2017年から事業主とのコラボヘルスを推進しています。その結果、健保組合は特定保健指導実施率80%、事業主側も健康経営優良法人 2024 ホワイト 500の認定を達成。健保組合と事業主の活発なコミュニケーションが生まれる推進体制や、ポピュレーションアプローチの起点としてのPep Up活用法など、成果につながった運用のポイントを伺いました。

プロフィール

ポーラ・オルビスグループ健康保険組合
被保険者

4,033人(男性1,002人、女性3,031人)

※2024年10月31日現在

被扶養者 1,334人
事業所数 10

 

特徴:女性の被保険者が75%を超えており、出産育児一時金など女性被保険者ならではの支出が多い。また全国の百貨店に勤務する販売員が多く、コミュニケーションの工夫が必要。

健保組合・事業主・医療職が目線を合わせる会議体は必須

星野様:
ポーラ・オルビスグループでは、2017年から新たなグループ理念「感受性のスイッチを全開にする」を掲げています。その重要な基盤のひとつが従業員の健康であるという認識のもと、同年より健康経営、そしてコラボヘルスの取り組みをスタートしました。当時の事業主の人事担当役員が健保組合の理事長を兼任し、グループの健康経営体制を整備。ホールディングスのHR室と、医療職が所属するグループ横断の産業保健組織「グループ健康管理センター」、そして健保組合が三位一体となってコラボヘルスに取り組んでいます。


竹中様:
中心的な議論の場は、三者が参画する月1回の健康経営ミーティングです。各施策の運営は健康経営の6つの重点課題ごとに編成したタスクチームが担当。また事業主側への情報共有の場として、各社の人事担当も委員として参加する健康管理事業推進委員会や、オンラインでのスコアリングレポート説明会を各社毎に設けています。


 ポーラ・オルビスグループにおけるコラボヘルスの推進体制

 健康経営ミーティング(月1回)

メンバー
  • 健保組合(保健事業担当)
  • ホールディングスHR室(健康経営担当)
  • 健康管理センター(医療職)
役割
  • 年間計画や課題テーマの確認とタスクチームへの分担
  • 各タスクの進捗確認と課題解決、検証

 

課題テーマ別ミーティング

メンバー    
  • 健保組合(保健事業担当)、ホールディングスHR室(健康経営担当)、健康管理センター(医療職)からの各メンバー
役割
  • 具体的な施策の企画・実施・検証

 ※健保組合は「女性のQOL向上策」「受動喫煙対策・ 卒煙支援」「ヘルスリテラシー向上策」のタスクチームに参画

 

 健康管理事業推進委員会(年3回)

メンバー
  • 健保組合
  • ホールディングスHR室
  • 健康管理センター
  • グループ各社人事管理職・担当者
役割
  • コラボヘルス実施状況をグループ各社人事担当へ共有

 

スコアリングレポート説明会(年1回オンライン) 

メンバー  
  •  健保組合(常務理事)、ホールディングスHR室(健康経営担当)(発信側)
  • グループ各社人事部門長・課長(参加者側)
役割
  • スコアリングレポートの報告
  • グループ各社に対する特定保健指導、健診事後措置の結果概要報告
  • 上記への協力要請
星野様:
事業主と健保組合では取り組むべき課題の優先度などに違いもありますが、互いにWin-Winの関係で密にコミュニケーションを取りながら、施策の企画から実施、振り返りまでワンチームで行える体制を築けています。異なる組織だとどうしても縦割りになりがちなので、コラボヘルス推進に当たっては、まず目標や方向性をすり合わせる議論の場の設定が重要ですね。

※GPTW: 1991年に米国で設立された「働きがい」に関する調査・分析をする専門機関。世界約100か国で展開している。

情報発信力強化で保険者インセンティブも減算第3区分に

竹中様:
健保組合としてコラボヘルスのメリットを特に感じるのは、情報発信力です。中でも特定保健指導については実施率向上がグループの経営課題として位置づけられ、コラボヘルス以前の20%から80%(2024年11月現在)まで向上しました。トップダウンでの情報発信で各事業所と被保険者の意識が変わったこと、そして対象者へのアプローチをより柔軟かつ強力に行えるようになったことが大きいですね。例えば、工場では事業所の会議室で業務時間中にオンラインによる初回面談を行い、参加率を高めています。
こうした取り組みが功を奏し、2024年度は後期高齢者支援金の加算・減算制度の減算対象第3区分となりました。


星野様:
事業主視点では、従来のようなリスクマネジメントにとどまらない“攻め”の健康施策を、グループ横断でよりスムーズに展開できるようになったのがコラボヘルスの最大のメリットですね。例えば、事業主側の実証導入を経て健保組合での本格導入、そしてグループ全面展開につなげたフェムテック施策や「Pep Up」による全従業員対象のインセンティブ付きウォーキングラリーなどは、コラボヘルスだからこそできた施策です。その結果、2024年には健康経営優良法人 ホワイト500にも認定されました。社内の健康経営に関するアンケートでも、従業員の意識や行動が年々改善している状況です。

Pep Up登録率は約80% 業務用PCがない被保険者もカバーできる

星野様:
「Pep Up」「らくらく健助」を始めとするJMDCのサービスは、2018年に導入しました。中でも「Pep Up」は従業員一人ひとりの健康リテラシー向上と健康増進に向け、今やポピュレーションアプローチや情報発信の重要な起点になっています。当社には業務用PCを貸与されていない百貨店勤務の販売職も多く、ご自身のスマートフォンを通じてそういった従業員にもアプローチできるのは大きいですね。その分、登録率アップには力を入れており、従業員の登録率は現在約約80%。健康経営に関する新入社員研修の中で「Pep Up」の重要性を説明するなどして、地道にPRを続けているところです。


竹中様:
「Pep Up」ひとつでウォーキングラリーやお知らせ通知はもちろん「健診結果改善チャレンジ」などユニークな企画も実施でき、コストパフォーマンスが非常に高いと感じます。またJMDCに健診データやレセプトデータを提供しているため、対象者を抽出した個別通知も容易。現在は特定保健指導、ポリファーマシー対策通知や腎通知、歯科受診勧奨通知を行っています。「Pep Up」を始めとする施策の本格的な効果検証はこれからですが、JMDCにもデータ分析をサポートしていただけるとありがたいです。


竹中様:
さらに、JMDCが運営事務局を担当した厚生労働省による公募事業「女性の健康対策事業」のコンソーシアムに健保組合と事業主で参加できたことも、コラボヘルスの成功要因だと考えます。3年間にわたって一緒に課題に取り組む中で、両者の距離がぐっと縮まりました。


星野様:
コンソーシアムでの学び自体も、健康経営や保健事業に大きく反映されていますよね。例えば、新入社員研修にプレコンセプションケアの話題を取り入れたり、フェムテック施策の新たな展開として妊活相談プログラムを導入したりしています。先進的な他社・他組合のノウハウを取り入れられる貴重な場でもあるので、機会があればまたぜひこうした活動に参加したいです。


コラボヘルス成功のカギはコミュニケーションの場と「きっかけ」

原田様:
今後は特定保健指導のリピーター対策が課題です。現在は対象者の6〜7割がリピーターですので、ウォーキングラリーなどを活用して健康習慣の継続化を図りたいと考えています。併せて、特定保健指導対象者の減少に向け、若年層からの新規流入対策も検討中です。
そのほか、女性のやせなど、まだ取り組めていない性別特有の健康課題対策や、ロコモ対策なども構想しています。


星野様:
事業主側では睡眠改善への関心も高まっているところです。メンタルヘルス、生活習慣病、生産性など、幅広い領域への効果が期待できると考えています。健保組合とニーズが合致する部分があれば、ぜひ一緒に取り組みたいですね。


竹中様:
コラボヘルスにおいて重要なのは、コミュニケーションを活性化させる仕組みや体制、そしてコミュニケーションの「きっかけ」です。「Pep Up」を始めとするJMDCサービスは、私たちにとってまさにそのきっかけのひとつになっていると感じます。引き続き、コラボヘルスのカギとして積極的に活用していきたいです。

インタビューを終えて

コラボヘルス推進に当たって、健保組合と事業主、医療職が目線を合わせられる議論の場をしっかり整備する重要性を改めて認識できたインタビューでした。また特定保健指導実施率向上のための具体的なアプローチや、コラボヘルスならではの「Pep Up」登録率アップ施策も参考になりました。
改めて、このたびはインタビューにご協力いただき、ありがとうございました。



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