保険者インタビュー・導入事例

健康経営と第3期データヘルス計画を両輪とした
持続可能な健康づくりの仕組みを実現
「Pep Up」を“基盤ツール”に育てたい

(写真左から:井上様、髙橋様、関山様、田口様)

インタビュイー様のご紹介

全国労働金庫健康保険組合
常務理事 関山 順 様
総務事業部 
副部長 髙橋 大悟 様
次席調査役 井上 智暁 様

事例概要

「誰もとり残さない健康づくりを実現したい」──

そんな思いを胸に、全国労働金庫健康保険組合(以下、労金健保様)は、労金業態の“労使の健康意識の高さと事業所のベストプラクティスを取り入れる業態特有の風土”を活かしながら、労金健保・事業所・全国労働金庫協会(以下、労金協会※様)・労働組合が一体となって「Pep Up」の導入を進めています。
※ 労金協会とは)全国13の労働金庫の中央機関として労金業態の政策・課題について、調査、研究、方針化し、提案、調整並びに指導、連絡を行っている。

2024年7月の運用開始から2025年9月時点では94.8%の登録率を達成。
短期間で高い登録率を実現した背景には、先述の”労金らしい風土”を活かした施策や各事業所への丁寧なフォロー、そして「目標登録率100%」を目指す提案があったといいます。
今回は、労金健保様の「Pep Up」導入の舞台裏と、今後の展望に迫ります。

プロフィール

全国労働金庫健康保険組合
被保険者

13,373人(男性6,786人、女性6,587人)
※令和7年3月末時点

被扶養者 8,758人

従業員の特徴: 事業所数は28。加入者の平均年齢は44歳で、運動不足の課題を抱えている方が多い。

 

健康経営、第3期データヘルス計画の質向上など多様な課題があった

関山様:
「Pep Up」の導入前は、「運動不足」「加入者への情報伝達」「事務負担」「インセンティブ不足」など、複数の課題を抱えていました

各事業所の運動不足解消の取り組みに補助金を支給していましたが、成果が見えにくく、情報は紙媒体中心で加入者にスピーディーかつダイレクトに届きづらい状況でした。また、帳票処理などの事務作業が煩雑で、健康維持に努める方へのインセンティブも十分に設計できていませんでした。

こうした課題と併せて、労金業態の健康経営と両輪をなす「第3期データヘルス計画」をより効果的、体系的、効率的に計画を進める方法はないかも模索していました。

これらすべての課題を解消する手立てとして浮上したのが、JMDCのPHRサービスである「Pep Up」の活用だったのです。


ユーザーへのヒアリングが導入検討の貴重な材料に

関山様:
導入にあたっての最大の決め手は、第3期データヘルス計画と連携を図れる点でした。健康経営や後期高齢者支援金加算・減算制度など、それぞれの観点でどのような導入効果が図れるのかが明瞭に整理されており、効果を確信して導入に踏み切ることができました。

総合評価指標大項目1

総合評価指標(大項目1)「デジタル活用の体制整備」では、PHRの体制整備やデジタル活用推進が新設項目として評価対象に。
出典)厚生労働省|後期高齢者支援金の加算・減算制度の見直しについて

 

また、運動不足への対策として、事業所対抗のウォーキングラリーを企画できることも魅力でした。
実際に、今年度のウォーキングラリーでは事業所ランキングを発表。各事業所に「上を目指そう」という意識が生まれ、エントリー率59.7%、さらにPep Up自体の登録率も95.1%から96.3%に上昇しました。 さらに、インセンティブ設計にはポイント制度が役立つと考えました。従業員の健康行動を後押しするインセンティブとして、限られた原資を効果的に配分できる機能を期待しています。

 

それから、労金は金融業態ということもあって、個人情報管理の信頼性も重要な条件でしたね。
JMDCは機密情報の厳格な管理体制を整えており、過去にも漏洩事故は一切なかったとのことで、これなら加入者からも信頼を得られると判断しました。

 

なお、導入前にはJMDCに「Pep Up」を活用している健保を紹介してもらい、ヒアリングを実施。
対応いただいたみなさまは、導入や定着における苦労やノウハウを惜しみなく共有してくださり、とても貴重な検討材料となりました
。協力してくださった静岡県信用金庫、北海道信用金庫、日本旅行、関東ITソフトウェア、ポーラ・オルビス、SCSK、日産自動車、プルデンシャル、大東建託の各健保の皆さまには、心より感謝を申し上げます。

運用開始前に関係者との丁寧な認識合わせを実施

高橋様:

2024年の「Pep Up」運用開始に向け、2023年10月から12月にかけて、我々3人で労金業態の主要13事業所を訪問(一部オンライン形式)しました。役員層には「Pep Up」を導入する狙いや効果を直接説明し、事業所のご意見や質問に丁寧に対応しました。

そのうえで、「登録率100%を目指している」と明言し、第3期データヘルス計画の基盤としてすべての加入者がPep Upを使えるよう体制作りへの強い意志を共有しました。

また、導入意義や運用方針は、健保の機関会議や労金協会主催の健康管理事業推進委員会、全国の人事担当役員や産業看護職が集まる全国健康管理担当責任者会議でも共有しています。

 

そうやって、本格導入前に関係者との認識合わせを徹底したことが、スムーズな導入と高い登録率の実現につながったと考えています。


各事業所の状況に合わせたアプローチで登録率を向上

高橋様:
導入の流れとしては、運用スタート直前の2024年7月1日に、まず全事業所を対象にオンライン説明会を開催しました。説明会にはJMDCの営業担当者にも参加してもらい、細かなサポートをお願いしました。そして7月2日に登録案内を全事業所に郵送。さらに、同月に行われた健保の理事会及び組合会でも改めて登録を呼びかけました。

その結果、最初は事業所によって登録率にばらつきがあったものの、11月時点では全体で約75%にまで上昇。小規模の事業所では90%を超えるところもありました。「登録率100%」を掲げてきたことで、着実に成果を出せたと考えています。

また、登録率をさらに上げる取り組みとしては、まず当健保の常務から登録率が低い事業所の役員への働きかけをお願いしました。さらに、実務レベルで事業所担当者とのWeb会議を設け、現状を確認し、登録率の高い金庫の取り組み状況を共有し成功事例を横展開しています。

それから、なかなか進まない事業所については、労働組合の執行部から事業所と連携し組合員に直接働きかけてもらうようにしたんです。労働組合が健保の取り組みに積極的に協力してくれる風土があるのは、労金業態ならではの強みだと思っています。あとは、医療費通知やジェネリック医薬品差額通知をペーパーレス化し、「Pep Up」での配信に移行するメリットをしっかり伝えてきたのも大きな要因だと考えています。

こうした取り組みの結果、2025年3月には登録率が90%に達しました。ちなみに、2025年9月の登録率は94.8%です。

「医療費通知機能」|健保から提供された医療費データをもとに、加入者が毎月の医療費をPep Up上で確認できます。

情報発信の改善や保健事業の広がりなど多数の課題を解消


井上様
「Pep Up」導入による効果として、現在、大きく3つを実感しています。

●より効果的な情報発信が可能に
健康記事やクイズなどヘルスリテラシーを高める働きかけを「Pep Up」を軸に展開できるようになり、事業所からも好評を得ています。機関誌やホームページなどほかの広報媒体と連動させることで、加入者に情報がより届けられるようになりました。例えばホームページのアクセス分析を見てみると、「Pep Up」からのお知らせを通知後にアクセス数が増加していることが明らかです。
さらに、マイナ保険証の制度改正をはじめとした保険給付・適用事業に関する情報発信にも活用しており、今では広範囲で健保事業を支えるツールとなっています。

●保健事業の企画が広がった
第3期データヘルス計画の中で、対象者をセグメントごとに分けて「Pep Up」を軸にアプローチするアイデア(受診勧奨や禁煙プログラムなど)が生まれるようになりました。

健康情報・お知らせ配信機能|歩数・体重などの日々の健康状態をPep Up上で可視化できるほか、
健康記事や健保からのお知らせをタイムリーに配信できます。

 

●加入者から直接ニーズを吸い上げられるように

アンケート機能を活用して、加入者から直接声を吸い上げられるようになり、厳しい意見も含めた”本音”を把握できるようになりました。第3期データヘルス計画の効果的なPDCAサイクルの展開に活かしていきたいと考えています。

また、全国版ウォーキングラリー「ろうきんWALKING RALLY 2025」を実施できたことも大きな成果です。前年度に約100人の人事担当者が参加して試験的にウォーキングラリーを実施した結果、開催前後で有意な歩数改善の効果が確認できました。その結果を踏まえ、今年度は全国展開を実施。最終的に参加者は7,521人(Pep Up登録者の59.7%)にのぼりました。

 

イベント連携・参加機能|Pep Upを活用した独自イベント「ろうきん WALKING RALLY 2025」では、Pep Up登録方法の案内も含め、加入者への参加案内をわかりやすく工夫されています。


注目指標を“利用率”へシフト。日常的に使われる健康づくりの”基盤ツール”にしたい

関山様
今後の展望としては、登録率から利用率へ注目する指標をシフトしていきたいと考えています。目標は、全体の半数以上が日常的に「Pep Up」を健康づくりの“基盤ツール”として使用する状態ですね。
そのためには、イベントなどの施策を計画的に積み重ねていくこと、そして事業所単位での取り組みが重要になるでしょう。例えば、高血圧対策に取り組んでいる長野県労働金庫では、従業員が日々「Pep Up」に血圧を記録し、そのデータを企業担当者向けのダッシュボードで確認しながら活用する取り組みを予定しています。このように事業所ごとに活用を広げ、ベストプラクティスを横展開することで、利用率の向上を目指します。


高橋様
私も、利用率の向上や健康改善というアウトカムにつながらなければ意味がないと考えています。JMDCが主催するユーザー会で共有されるほかの健保の事例を積極的に学び、「Pep Up」の活用の幅をますます広げられるよう模索していくつもりです。


井上様
ウォーキングラリーのような”加入者が健康増進を楽しみながら参加できるイベント”を、今後は自ら企画してみたいですね。「Pep Up」が加入者にとってもっと身近なツールになるような取り組みを展開していきます。



インタビューを終えて

 

今回のインタビューで特に印象的だったのは、「誰もとり残さない健康づくりを実現するために、登録率100%を目指す」という強い信念をもち、役員・労金協会・労働組合・事業所・人事を巻き込みながら取り組まれてきた姿勢です。その確固たる姿勢が組織全体を動かし、大きな成果につながっていました。

またお話しする中で、歯科受診勧奨やeラーニングの仕組み強化といった具体的な要望も挙げていただきました。これも、日々の活用を通じて「加入者の健康支援によりつながる形にしたい」という真摯な想いがあるからこそでしょう。


そんな労金健保様の取り組みは、登録率の向上だけでなく、PHRを“加入者の健康づくりの基盤となる仕組み”へ育てており、今後のさらなる進化にも、引き続き注目していきます。

 

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