保険者による大腸がん対策の重要性について
現在日本人の2人に1人は一生のうちにかかると言われているがん。
後期高齢者支援金 加算減算制度の2021年度改定でもがんの項目は強化され、保険者様としても対応の必要性が高まっています。
今回の記事ではがん、特に日本で最も罹患者数が多い大腸がんについて解説します。
目次[非表示]
- 1.日本で増加しているがん
- 2.がんの発生・進行
- 3.大腸がん検診精密検査判定者の実態
- 4.JMDCの大腸がん精密検査勧奨通知
- 5.おわりに
日本で増加しているがん
厚生労働省の「人口動態統計」によると、がんの死亡率は年々増加しており平成30年時点で死因の27.4%を占めています。
この状況を受け、後期高齢者支援金 加算減算制度2021年度改定でもがんに対する取り組みは強化され、「大腸がん・胃がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん5種のがん検診を全て実施」や「要精密検査対象者における精密検査受診率」の項目が新たに追加されました。
国立がん研究センターのデータによると、がんの中では大腸がんの罹患者数が最も多く、また罹患者数・死亡者数ともに増加し続けています。
がんの発生・進行
さて、がんはどのように発生しているのでしょうか。
人体には約60兆個の細胞があり、毎日約6,000億個が細胞分裂を行いコピーの細胞をつくります。細胞分裂の際に細胞の設計図にあたるDNAがコピーされますが、コピーに失敗することがあります。
多くの場合コピーミスを起こしたDNAは修復されますが、特定の遺伝子のDNAにコピーミスが生じると、細胞は際限なく分裂を繰り返すようになります。こうして毎日5,000個もの異常な細胞が生み出されます。
通常、このような異常な細胞は細胞死や免疫機能により排除されますが、免疫低下や老化により排除ができなくなり、異常な細胞が増加・蓄積すると悪性腫瘍となりがんが進行します。
がんが進行する要因は免疫低下や老化の他に、飲酒や食事、身体活動といった生活習慣に起因するものもあります。
大腸がん検診精密検査判定者の実態
日本対がん協会のデータによると、大腸がん検診受診者のうち6.0%が要精密検査判定を受け、2.8%が悪性腫瘍(がん)と診断されています。
ここで問題となるのが精密検査受診率です。要精密検査判定を受けた人のうち30%は精密検査未受診のまま放置しています。
精密検査未実施のまま放置していると、大腸がんのステージが進行する可能性が高まります。また、肝臓など他の臓器へ転移するリスクも出てきます。
また、医療費的な観点でも早期発見・早期治療が有利になります。
早期で治療できると6万円ほどの治療費ですが、ロボット支援下手術(ダ・ヴィンチ手術)が必要になると入院費を含めて600万円近くかかってしまいます。
病期の進行リスク・医療費的な観点の双方から、要精密検査判定かつ未受診者への早期の介入が重要となります。
JMDCの大腸がん精密検査勧奨通知
この度、JMDCでは大腸がん精密検査勧奨通知を開発しました。
この通知は、過去の大腸がん検診結果をもとに大腸がんレセプト未発生者へ対して送られます。
特徴は
・ナッジ理論を用い、自分のためだけの大事な情報であることを強調した紙面
・リスクと受け手のメリットを端的にお知らせ
・本人の自発的な受診を促すコミットメント効果を取り入れた構成
です。
おわりに
JMDCでは上記でご紹介した大腸がん精密検査勧奨通知をはじめ、後期高齢者支援金 加算減算制度の対象となっているがん通知を今後順次開発いたします。
また、JMDCではがん検診データを用いた分析等においても、がん対策の取り組みも支援しております。
お困りの際は是非お問い合わせくださいませ。