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【JMDC社員インタビュー】 健保と自治体の保健事業の共通点・相違点

JMDCでは健康保険組合様以外の保険者様の支援も行っております。

今回は「健保と国保って何が違うの?」をテーマに、どちらの営業担当も経験した弊社の八尋・樫木に話を聞いてきました。
JMDC STORIESは健康保険組合の読者様が多いのですが、広い意味での保険者支援として今後の保健事業の参考になれば幸いです。

目次[非表示]

  1. 1.インタビュイー紹介
  2. 2.現在の担当業務
  3. 3.健保と国保の共通点や違い
  4. 4.— 逆にどのような違いがありますか?
  5. 5.自治体の課題意識とは
  6. 6.地域連携について
  7. 7.今後の展望


インタビュイー紹介

八尋拓也
株式会社JMDC 公共政策・産学連携部所属。
疾病予防事業、特定保健指導事業を経て、2015年JMDC(旧日本医療データセンター)入社。
入社以来、新潟県・愛知県・九州エリアを中心に国保のデータヘルス支援や健保の保健事業支援業務に従事。
2021年4月より公共政策・産学連携部にて、グループリーダーを務める。

樫木里絵子
株式会社JMDC 公共政策・産学連携部所属。
Webコミュニケーション・マーケティング事業を経て、2018年JMDC(旧日本医療データセンター)入社。
入社以来、新潟県・愛知県・関東エリアを中心に国保のデータヘルス支援や健保の保健事業支援業務に従事。
2021年4月より公共政策・産学連携部にて、国保様向け営業担当を務める。

現在の担当業務

— お二人の現在の業務を教えてください。

八尋:自治体様への提案型営業をしています。5年ほど前から限られた自治体様に対しては一部サービス提供をしてきたのですが、2021年4月から部署を立ち上げて全国の自治体様への提案を行っています。自治体様の中ではまだまだ知名度が低いですが、今はJMDCを知ってもらう段階と捉えてチームのメンバーと精力的に活動をしています。

樫木:自治体様は直接ご挨拶に出向いて行かないと、中々弊社のことを知っていただく機会も少ないと感じています。

     

— それ以前は健保様の担当営業をしていましたよね。

八尋:そうですね。私は西日本を、樫木さんは東日本のいずれも既存の健保様を担当していました。健保様も自治体様も、保健事業支援を行うという点では共通しているお仕事です。

各保険者の比較
※出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/iryouhoken01/index.html

健保と国保の共通点や違い

— 健保様と国保様の共通点について教えてください。

八尋:健保様は保険者インセンティブ、国保様は保険者努力支援制度の枠組みの中で実施すべき保健事業が定められていますが、大枠の事業は似ています。これまで健保様へ提案してきた当社の事業をそのまま国保様へご提案する機会も多くあります。

保険者インセンティブ(健保)

保険者努力支援制度(国保)

— 逆にどのような違いがありますか?

樫木:国保様からはICT(健康ポータルサイト)に対するお問い合わせがあまり多くない印象があります。健保様を担当していた時はかなり多くの割合でPep Up(編集部注:JMDCが提供するICTサービス)が導入されていて、よく対応をしていましたが、その点は大きく違います。

八尋:加入者の属性が違ったり、保険者努力支援制度上、必須な項目として定められていなかったりすることが理由かもしれないですね。

     

— 自治体様ならではの取り組みや制度について詳しく教えてください。

樫木:事業への取り組みの仕方も健保様との違いを感じます。健保様だと様々なサービスを網羅的に提案し、年度内に全て進行していましたが、自治体様は一つの事業を深堀するイメージがあります。
また、自治体様は各部署がそれぞれ独立性をもっている印象があります。例えば、各自治体様で異なる場合もありますが、特定健診であれば健康推進課だけれど重症化予防事業は国保年金課といったように、一つの自治体様でも伺う部署によってカバーしている範囲が全く違います。

八尋:一つのサービスを深く提案しますし、採択いただいてからも介入方法や効果検証に拘って実行をしていきます。
健保様だとある程度は画一したご提案をすることも多いのですが、自治体様だと地域住民の顔が見えることもあり、地域に根差したカスタマイズ提案が多い印象です。

     

— 長久手市様の例を見ても、事業への取り組みが深いと感じました。

八尋:そうですね、一つの事例に深く介入をしていくことに特徴があります。
市民の方に常に見られている感覚や意識も大きく働いているのもしれません。また、各ステークホルダーに細かく確認をして、事業の成果をあげていこうとする姿勢が大きいと思います。

   

 

自治体の課題意識とは

— 自治体様へ提案する中で、課題感が共通しているのはどの事業ですか?

八尋:健保様と同じかもしれませんが、特定健診ですね。
国の目標は受診率60%なのですが、現時点で平均40%※ほどに留まっています。

※厚生労働省:2019年度特定健康診査・特定保健指導の実施状況(保険者別)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000173202_00008.html

     

— 健保様と比較すると低く感じますね。

八尋:健保様目線で言うと全員が被扶養者のような形です。
被保険者のように強制力を持たせて健診を受けてもらえないので、受診率が伸び悩んでいます。
より一層個人に即した介入をする必要がありますし、自治体様ならではの取り組みとしては地域特性も分析して介入することもあります。

樫木:健保様だと全国に加入者が散らばっていて中々出来ないと思いますので、これも自治体様特有の例だと思います。JMDCの健診勧奨通知はレセプトと健診から見て未受診理由を類推して通知を作成していますが、更に地域別の特性も分析をするなどして対応しています。

   

地域連携について

— 健保様ではコラボヘルスがキーワードとして上がりますが、自治体様は地域連携がキーワードなのでしょうか。

八尋:そうですね。長久手市様ではセミナーでお話いただいた通り地域のかかりつけ医・専門医と連携して事業を行い、成果をあげました。

樫木:地域特性を生かす意識も大きいと思います。医師会とも連携して事業を行おうという意識を感じます。
また、通知の対象者が役所の窓口に問い合わせをされることも当然あるので、慎重にしっかりと連携を取る意識を感じます。

八尋:地域連携の観点では、国保様は国保加入者だけでなくその地域に住む方全員に対してサポートしたいという想いもあります。
自治体様によって異なりますが、国保加入者ではその地域の住人の約25%※しかカバーできていない、つまり残り約75%は他の保険者に加入しています。

※出典:厚生労働省「国民健康保険実態調査」および総務省「住民基本台帳人口」より試算
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450397&tstat=000001152006&result_page=1
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/daityo/jinkou_jinkoudoutai-setaisuu.html

すべての地域住人へ良い介入をするためには、健保様と連携をすることも重要になってきています。愛知県のとある自治体様では健保様と連携して事業を行った事例もあり、JMDCも支援いたしました。

     

— 健保様はどうしても加入者が広範に散らばっている、かつ事業主との調整もあるため、地域まで巻き込んで事業を行うのは難しい印象があります。

八尋:例えば被扶養者への健診受診率向上の取り組みにおいては連携できるかもしれません。地域で受けた健診結果を健保に送ってもらうことで特定健診受診率を向上させる事業は、多くの健保様で行っていることだと思います。
健診を受けてもらうために、自治体と連携して受診率をあげ、データ連携が行えれば両者WIN-WINとなり理想的ではないでしょうか。

    

今後の展望

— 最後に、今後の展望について教えてください。

八尋:自治体様の中で当社の存在感を広げていきたいです。
弊社に事業をお任せいただける自治体様を広げていくことで、より広範な年齢層や属性の方のデータも集まるため、JMDCが保有している様々な予測モデルをより精度を高めて提供したり、新しい予測モデルの開発を進められたり、より社会に役立つデータ活用の道を拓くことができます。

樫木:ビックデータを生かして医療費適正化を推進するというJMDCのミッションを、自治体様への取り組みを強化していくことで推進していきたいと思っています。そのためにも、まずは目の前の国保様に対してこれからも良いご提案が行えるようこれからも頑張っていきたいです!

   

編集後記

自治体様への取り組みは健保様と共通しているところ、異なっているところそれぞれにあり、非常に興味深いインタビューでした。より一つの事業を深掘りして、課題解決に向けて徹底的に取り組む点で、今後の健保様へのご支援にも生かせるヒントを多くもらえた気がします。
話にあがった、特定健診受診率向上の施策や、事業所の課題を地域の取り組みとして捉えて解決に向かっていくことなど、自治体様と健保様がコラボレーションして事業を行っていくことも今後事例として増えてくるのではないかと思いました。
自治体様と連携しての課題解決へ取り掛かっていきたいと思う健保様いらっしゃいましたら、是非ご相談ください。

八尋さん、樫木さん、ありがとうございました。
引き続き自治体様へのご支援・ご提案、頑張っていきましょう!


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