日本における子宮頸がんの実態
日本では、厚生労働省によって5種のがん(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がん)に対するがん検診の効果が科学的に示され、推奨されていています。
今回の記事では、若年層でも罹患者数・死亡者数が多い子宮頸がんについて解説します。
目次[非表示]
- 1.子宮頸がんの基礎知識
- 2.子宮頸がんの予防
- 3.子宮頸がん検診の重要性
- 4.JMDCの子宮頸がん検診受診勧奨通知
- 5.おわりに
子宮頸がんの基礎知識
子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルス感染が原因となるがんです。このHPVは、子宮頸がんの他にも中咽頭がん、陰茎がん、肛門がん、膣がん、外陰がん、尖圭コンジローマなどを引き起こします。
HPV自体は珍しいウイルスではなく、女性であれば80%以上、男性は90%以上が生涯で一度は何らかのHPVに感染すると言われています。多くの場合は、免疫機能によって排除されます。
日本では、年間約10,000人の人が子宮頸がんに罹患し、約3,000人死亡しています。他のがんに比べ、20-30代の若年層の罹患が多いのが特徴です。
(参照:日本対がん協会)
子宮頸がんの予防
子宮頸がんの予防方法には、大きく2種類あります。子宮頸がんの原因となるHPVの感染を防ぐHPVワクチン、そして早期発見を可能にする子宮頸がん検診です。
HPVワクチンについては、日本では小学校6年生から高校1年生相当の女子を対象に定期接種が行われています。しかし、接種後の副反応がメディアで大きく取り上げられて社会問題となり、2013年から積極的勧奨は差し控えられています。
そのため、WHO(世界保健機関)の目標では「15歳までに90%が接種」と定められているにも関わらず、日本のHPVワクチン接種率は1%未満にとどまっています。
また、接種率が約70%に維持された場合と比較すると、HPVワクチンの積極的勧奨の中止により1994年から2007年の間に生まれた女性では一生涯のうちに24,600~27,300人多く子宮頸がんに罹患し、5,000~5,700人多く子宮頸がんにより死亡すると予測する研究結果*も発表されています。
*Simms, K. T., Hanley, S. J., Smith, M. A., Keane, A., & Canfell, K. (2020). Impact of HPV vaccine hesitancy on cervical cancer in Japan: A modelling study. The Lancet Public Health, 5(4). https://doi.org/10.1016/s2468-2667(20)30010-4
子宮頸がん検診の重要性
HPVワクチンで防げない子宮頸がんを予防する方法が子宮頸がん検診です。
日本では20歳以上の女性を対象に2年に1回の受診が推奨されています。
子宮頸がんはがん化する前に異形成という段階を経るのですが、検診で異形成を発見できるので早期治療が可能になります。
しかし、20代の過去2年間の検診受診率は26.5%で、全体の受診率も50%に満たない状況です。日本においては、HPVワクチン接種率に加えて検診受診率も大きな課題となっています。
(参照:日本医師会)
JMDCの子宮頸がん検診受診勧奨通知
この度JMDCでは、子宮頸がん検診受診勧奨通知のサービス提供を開始しました。
HPVワクチン接種率、子宮頸がん検診受診率ともに低いことに着目し、広く啓発し多くの方に読んでいたくことを目的とした通知となっております。
通知面は主に若年層女性を対象としたデザインとなっており、子宮頸がんやHPVに関する正しい情報を発信しています。
また、自治体のがん検診窓口の情報を掲載することで、後期高齢者支援金 加算減算制度の大項目5にある「市町村が実施するがん検診の受診勧奨」の項目を満たすことができます。
子宮頸がんに対する事業を行っていない保険者様はこのような取り組みから始めてみてはいかがでしょうか。
ご関心のある保険者様はぜひお問い合わせください。
おわりに
JMDCでは上記でご紹介した子宮頸がん検診受診勧奨通知をはじめ、後期高齢者支援金 加算減算制度の対象となっているがん通知を今後順次開発いたします。
また、JMDCではがん検診データを用いた分析等においても、がん対策の取り組みも支援しております。
お困りの際は是非お問い合わせください。