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今さら聞けない「共同事業(コンソーシアム)」の基本

JMDCは、令和3年度高齢者医療運営円滑化等補助金における「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業(保健事業の共同化支援に関する補助事業)」(以下、共同事業)において、事務局として事業運営支援を行いました。今回の特集前編では共同事業の基本について、後編ではJMDCが事務局を担った「女性喫煙者対策のための禁煙推進サポーター・リーダー育成事業」について取り上げます。


目次[非表示]

  1. 1.「保健事業の共同化支援に関する補助事業」とは?
  2. 2.応募要件
  3. 3.共同事業の助成金の利用方法
  4. 4.事業テーマの選定および共同事業の進め方
  5. 5.今後の共同事業の方向(厚労省保険局保険課より)
  6. 6.おわりに


「保健事業の共同化支援に関する補助事業」とは?

厚労省保険局保険課による「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業」のうちの一つで、平成29年度にスタートし令和3年度で4年目となりました。

事業の内容は、複数の健保組合とヘルスケア事業者(大学、研究機関、健診機関など)がコンソーシアムを構成して共同で実施する保健事業に対し、運営費等を助成するというものです。

この事業の背景には、健康保険組合の半数以上は加入者1万人未満の中小規模の保険者であり、その多くがコストや事業規模により保健事業を十分に行えていないことが挙げられます。
そのため、業種・業態等で共通する健康課題に対して複数の保険者や民間のヘルスケア事業者等が連携して実施することで、中小規模の保険者を含む保険者全体の機能強化や保健事業の効率化を推進することを目的としています。

(参照:健康保険組合における保健事業の共同実施推進ガイド)

応募要件

本事業の応募に際しては、以下の要件を満たす必要があります(抜粋 ※令和3年度時点)。

・加入者10,000人未満の組合が占める割合が申請時点で50%以上となる見込であること
・事業運営委員会は、分析に資するアウトプット指標、アウトカム指標などのデータを適切に取得し、事業の実証を行うこと。
・ 単独組合で実施可能な既存事業ではなく、複数の異なる組合によって共同で実施されることによる効果やメリットが期待される事業であること。

その他細かな要件、詳細は下記資料4,6ページをご覧ください。
「レセプト・健診情報等を活用したデータヘルスの推進事業 保健事業の共同化支援に関する補助事業 公募説明会」資料

今回JMDCが事務局として行った共同事業では、加入者1万人未満の3健保を含む計6健保が参加し、ノウハウの共有や保健事業に活用できる禁煙啓発資材の制作を行いました。
アウトプットは「禁煙事業を推進する健保、事業主の担当者が専門家の講演およびディスカッションの場へ参加」と「女性喫煙者の禁煙啓発のためのチラシおよび動画を制作」、アウトカムは「健康保険組合または事業主による自発的な取り組み実行」と「制作した資材を活用した情報発信」に設定しました。

共同事業の助成金の利用方法

共同事業の助成金は、以下の対象経費に対して使用することができます。

・被用者保険運営円滑化推進事業 の実施に要する諸謝金
・旅費
・備品費
・消耗品費
・印刷製本費
・通信運搬費
・光熱水料
・借料及損料
・会議費
・賃金
・保険料
・雑役務費
・委託費

参考:https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/000770070.pdf

今回JMDCが事務局として行った共同事業では、主に講演やグループディスカッションの指導をしていただいた専門家への謝礼や資材制作費用として補助金を使用しました。


事業テーマの選定および共同事業の進め方

事業テーマについては、健康保険組合同士で働きかけ、健保単独では解決しにくい共通の健康課題に応じて事業テーマを選定し、コンソーシアムへ参加する健保を募る方法が一般的です。

今回は、女性喫煙者対策をテーマに野村證券健康保険組合様が主幹事をされ、JMDCが事務局として運営を行いました。  

 

今後の共同事業の方向(厚労省保険局保険課より)

令和4年度の公募要領は3月18日に公開されました。
詳細は下記リンクよりご覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/dh-kenpo_hojokin2022_24576.html

厚労省では共同事業をより推し進めるため、「健康保険組合における保健事業の共同実施推進ガイド」を作成しています。また、データヘルス・ポータルサイトでは同一の健康課題や類似した保健事業を有する保険者相互が、共同で保健事業を実施するために、既にある関係性のネットワークを超えてマッチングできる機能を導入しています。

参考:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000061273_00001.html

おわりに

ここまで共同事業の概要について取り上げました。
特集後編ではJMDCが事務局を担った「女性喫煙者対策のための禁煙推進サポーター・リーダー育成事業」について報告します。


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