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ウェアラブルデバイスを保健事業に活用! 健康経営にも効く運用のポイントを解説


「Fitbit」「Apple Watch」といったウェアラブルデバイスを活用した保健事業は、加入者全体の健康状態、ヘルスリテラシーを底上げできるだけでなく、データを活用した保健事業の費用対効果改善の観点でも有効です。企業による健康経営の一環としても注目度が高く、ウェアラブルデバイスを使った施策がコラボヘルスのカギになっている事例も少なくありません。


具体的にどのような施策で活用できるのか、成果を出すためにどう定着、浸透を図ればよいのかを解説します。


目次[非表示]

  1. 1.ウェアラブルデバイスとは
  2. 2.保健事業でウェアラブルデバイスを活用するメリット
    1. 2.1.加入者自身による健康管理を促進
    2. 2.2.データを活用した保健事業の企画・実施
  3. 3.代表的なウェアラブルデバイス活用施策例
    1. 3.1.ウォーキングラリー
    2. 3.2.特定保健指導
    3. 3.3.睡眠プログラム
  4. 4.成果につながる定着のポイント
    1. 4.1.インセンティブを付与する
    2. 4.2.コラボヘルスで実施する
  5. 5.おわりに~ウェアラブルデバイスを活用した事業設計をサポートします


ウェアラブルデバイスとは


ウェアラブルデバイス(ウェアラブル端末)とは、腕や衣服などに装着して使用する「身につけられる(wearable)」デジタル機器を指します。代表例はアップル社の「Apple Watch」やグーグル社の「Fitbit」など。スマートウォッチと呼ばれる時計型のものが広く知られていますが、リストバンド型やゴーグル型なども登場しています。電話やSNSの通知を受けたり、音楽を再生したりできるほか、センサーを通じて以下のようなバイタルデータを取得し、連携したスマートフォンアプリで健康状態をセルフチェックできる機能も搭載されています。


<ウェアラブルデバイスで取得できるバイタルデータの例>

  • 歩数
  • 心拍数
  • 血圧
  • 消費カロリー
  • ストレス指数
  • 睡眠時間や睡眠の質

※取得できるデータは商品・サービスによって異なります。


このようなウェアラブルデバイスから取得できるバイタルデータは、個々人の健康や医療に関する記録「PHR(Personal Health Record)」のひとつとして政府も注目。健診・レセプトデータや電子カルテデータなどと合わせて活用することにより、医療サービスの向上、個人のセルフコンディショニングを促進すると期待されています。



保健事業でウェアラブルデバイスを活用するメリット


総務省の調査によると、2022年時点におけるウェアラブルデバイスの普及率は10%とそれほど多くないため、保険者が保健事業として率先して加入者にウェアラブルデバイスを配布する意義は高いといえます。特に期待できる導入メリットは次の2点です。


加入者自身による健康管理を促進


一人ひとりの健康状態が客観的な数値として日々可視化され、それを加入者自身が簡単に確認できるため、加入者のセルフコンディショニングの促進、ヘルスリテラシーの向上につながります。例えば「なぜか仕事の生産性が上がらない」と感じた際、ウェアラブルデバイスで計測された記録を確認すると、前日の睡眠スコアが低くなっている。さらに前日の行動を振り返ると遅くまでお酒を飲んでおり、睡眠の質を悪化させている一因であると仮説を立てられる──といった形で、生活習慣を見直すきっかけを作れます。
特定保健指導や重症化予防の対象者だけでなく、現時点での健康層も含めた加入者全体の生活習慣、健康状態、ヘルスリテラシーを底上げできるのがポイントです。


データを活用した保健事業の企画・実施


健診・レセプトデータではカバーできなかったバイタルデータを保険者が取得できるようになり、データ分析結果をもとにより費用対効果の高い保健事業を展開できるようになります。
マクロな視点では、集計したバイタルデータの分析によって加入者の傾向を把握した上で保健事業を企画したり、施策の優先順位付けをしたりできるように。民間のPHRサービスと連携させれば、健診・レセプトデータとの突合でさらに精度の高いデータ分析も行えます。
ミクロな視点では、加入者それぞれの健康状況や生活習慣に応じた、よりきめ細かな保健指導が可能になります。中でも後述の通り、特定保健指導の円滑化を図れるのは大きな利点です。


代表的なウェアラブルデバイス活用施策例

ウォーキングラリー


一定期間のトータル歩数や1日当たりの平均歩数を競う「ウォーキングラリー」は、加入者向けスマートフォンアプリなどを使ってよく実施される健康イベントのひとつです。この際、配布したウェアラブルデバイスとアプリを連携させる形でイベントを実施する方法が考えられます。例えば、参加者が1日の目標歩数到達時や長時間動いていない際、デバイスからアラームを受け取れるようになり、イベント参加のモチベーションをアップ。また、業種・職種によって勤務時間中のスマートフォンの持ち込みが制限されている加入者も、不公平感なくイベントに参加できるメリットもあります。


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特定保健指導


特定保健指導では、対象者が日々の運動習慣や休養習慣などを指導員へ報告する際、ウェアラブルデバイスが重宝します。歩数や睡眠時間などが自動で記録されるため、対象者が手作業で記録を取ったり、指導員が記録の仕方から指導したりする手間が不要に。また指導員はデバイスから取得したデータをもとに、よりポイントを絞ってアドバイスできるようになります。例えば、継続支援の中で心拍数データを参照し、対象者に合った運動強度を提案する──といったサポートも可能になるでしょう。


睡眠プログラム


ウェアラブルデバイスで睡眠時間や睡眠スコアを計測・記録した加入者にインセンティブを付与し、生活習慣の見直し、改善のきっかけとしてもらう施策です。併せて睡眠に関する専門家のセミナーや、希望者への個別アドバイスを行っている事例もあります。


成果につながる定着のポイント


せっかく予算を確保してウェアラブルデバイスを配布したものの、定着せず成果が出なかった──といった事態に陥らないよう、導入・運用時には以下のような工夫も重要になります。


インセンティブを付与する


ウェアラブルデバイスを使ったイベントへの登録や参加状況に応じて、任意の商品と交換できるインセンティブポイントを付与する方法です。加入者向けアプリを活用すれば参加状況の集計やポイントの付与、分析に向けたデータ収集も容易になります。


コラボヘルスで実施する


保険者単独ではなく、事業主を巻き込んだ全社的な取り組みとしてウェアラブルデバイスを配布、活用したほうが、加入者・従業員への浸透がスムーズになります。健康経営優良法人(大規模法人部門)の認定に関わる健康経営度調査にもウェアラブルデバイスの活用に関わる項目があるなど*、事業主側の健康経営上もメリットのあるアプローチです。
ただし、歩数などのバイタルデータが事業主に共有されることへ抵抗を感じる従業員も少なくないと考えられます。事業主側とのデータ連携は本人が同意した場合のみとするなど、適宜配慮が必要です。


* Q54.「運動習慣の定着に向けた具体的な支援」、Q55.a「睡眠障害や、業務中の眠気による生産性の低下予防」、Q59.「メンタルヘルス不調の予防や不調者への復職支援、就業と治療の両立支援」など


おわりに~ウェアラブルデバイスを活用した事業設計をサポートします


保健事業の実効性向上が期待できるのはもちろん、加入者に対するキャッチーさも魅力のウェアラブルデバイス施策。JMDCでも「Fitbit」をはじめとするウェアラブルデバイスの提供から活用施策の提案、健康経営のコンサルティングまで幅広くサポートしています。導入を検討されている保険者様、企業様はぜひお気軽にご相談いただけると幸いです。



(参考情報)
ヘルスケア - Apple Watchと健康 - Apple(日本)
オムロン ウェアラブル血圧計 HCR-6900T-M HeartGuide|血圧計|商品・サービス|オムロン ヘルスケア
民間PHR事業者団体の設立に向けた調整状況について 令和3年12月 経済産業省ヘルスケア産業課
令和5年版 情報通信白書
令和5年度 健康経営度調査(従業員の健康に関する取り組みについての調査)

ウェアラブルデバイスの提供から活用施策の提案、健康経営のコンサルティングについては下記よりお問い合わせください

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