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肝硬変や肝臓がんにもつながる「脂肪肝」 求められるのは早期発見の仕組みと生活習慣改善のサポート【保険者が知っておきたい疾病】

 

多量の飲酒や肥満などが原因で陥る、脂肪肝。健診で脂肪肝を指摘される方は増加傾向にあり、日本における脂肪肝の方の割合は男性で3人に1人、女性で5〜6人に1人にまで上っています(「日本消化器病学会・日本肝臓病学会 NAFLD/NASH診療ガイドライン2020」より)。

 

そんな脂肪肝は、状態が悪化すると肝硬変や肝臓がんといった重大な病気に発展する可能性も……。しかし、健診で指摘されたにも関わらず、そのまま放置している方は少なくありません。

そこで本記事では、脂肪肝の基本的な知識や保険者が注目すべき理由を解説。施策の検討にぜひお役立てください。

 

 

「脂肪肝」とはどんな状態?

 

脂肪肝とは、「肝細胞の内部に中性脂肪が必要以上に蓄積されている状態」のこと。具体的には、全肝細胞の30%以上が脂肪化していると、脂肪肝と診断されます。

 

そんな脂肪肝には、多量の飲酒によって引き起こされる「アルコール性脂肪肝」と、それ以外の原因で起こる「非アルコール性脂肪肝(MASLD ※2024年8月にNAFLDから名称変更)」の2種類があります。

そして脂肪肝が進行すると、アルコール性脂肪肝の場合は「アルコール性脂肪肝炎(ASH)」、非アルコール性脂肪肝は「非アルコール性脂肪肝炎(MASH ※2024年8月にNASHから名称変更)」となり、肝硬変、やがては肝臓がんに発展する可能性があるのです。つまり、脂肪肝は身近な体のトラブルでありながら、重大な病気の前兆であるといえます。

 

・非アルコール性脂肪肝は肝障害の代表格

 

肝障害にはさまざまな種類がありますが、その中でも最も多いのが非アルコール性脂肪肝です。その主な原因は、肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病、脂質異常、高脂血症、高血圧。食べ過ぎや糖質、脂質の過剰摂取、運動不足などといった生活習慣の乱れがある場合は、脂肪肝になるリスクが高いといえます。

 

・脂肪肝の改善方法

 

命に関わる病気につながる恐れもある脂肪肝ですが、以下のような生活習慣の見直しなどによって改善できる可能性が高いという特徴もあります。

 

・栄養バランスに配慮した食事を適量とる
・運動、特に有酸素運動を週2〜3回は行う
・(肥満の場合は)適正体重まで減量する
・禁酒もしくは節酒する
・十分な睡眠と休養をとる

 

また、サプリメントや市販薬、栄養補助食品を常用している場合は、その成分や用量が適切かを見直し、必要に応じて薬剤師など専門家に相談することが有意義です。


なお、改善までにかかる具体的な期間には個人差がありますが、軽度であれば3ヶ月ほどで機能の正常化を目指せる場合も。早めのアプローチがカギとなります。

 

保険者が「脂肪肝」に注目すべき理由

 

脂肪肝は改善を目指しやすい一方で、基本的に自覚症状がなく(一部の方は疲労や腹部の違和感を覚えることもあります)、状態の悪化に気づきにくいという特徴もあります。また、症状がないことで、改善に向けた取り組みをなかなか継続できない方も多いようです。

そこで重要になるのが、保険者による健診や特定健診。脂肪肝は、血液検査で「AST(GOT)」「ALT(GPT)」「γ-GTP」の値が基準値を超えた場合に疑い、必要に応じて超音波(エコー)やCTなどの画像解析検査、肝生検を実施して診断します。検査で体の状態を明確にし、また数値で状態の変化を追うことで、改善の必要性を自覚し、モチベーションを維持しやすくなるでしょう。
なお、健診だけでなく、その後のフォローも重要なポイント。脂肪肝の改善には継続的な生活習慣の改善が必要であり、専門家のサポートが必要になるケースも多いため、結果に応じて保健指導の案内や医療機関の受診勧告(重症化予防)といった次のステップにつなげることが求められます。

 

・脂肪肝対策につながる保健事業

 

脂肪肝の特効薬は現在のところまだなく、改善(および予防)のためには、ここまでに触れてきたように生活習慣の見直しが必要になります。しかし、「生活習慣の見直し」と一口にいっても、具体的にどのような行動を起こすべきかわからない方は多いはず。そのため、コラムやセミナーなどを通じて通じて「健康な体をつくる生活習慣」について定期的に情報提供することは、脂肪肝対策のサポートとして非常に効果的です。

 

見えるリスクは潰せるリスク。発見・改善できる仕組みづくりを

 

脂肪肝は、早期介入で改善を目指せる「見えるリスク」のひとつ。保険者には、脂肪肝が肝硬変や肝臓がんといった専門的な治療を要する重篤な病気に発展する前に発見、対処できる仕組みづくりが求められています。

また、脂肪肝対策を保健事業のテーマとして取り上げることは、特定保健指導や生活習慣病管理、重症化予防といった評価指標にも貢献するはず。脂肪肝の予防や改善に向けた取り組みを行っていない場合は、ぜひ施策を検討してみてはいかがでしょうか?

 


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