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JMDCデータベースを用いた生活習慣病における最新の研究

JMDCは毎月1,000万人以上分のレセプト・健診データを保険者様よりお預かりし、医療ビッグデータを構築しています。そしてこのデータベースは、多くの製薬・医療機器メーカー、生命保険会社・損害保険会社、官公庁、大学などで導入・利用されています。

今回の記事では、保険者様からお預かりしたデータをもとに作成されたデータベースはどのように学術領域で活用され社会に還元されているのかについてご説明します。

JMDCデータベースの特長

JMDCのデータベースには下記の特長があります。

  • 医療機関だけでなく保険者様由来のデータを取り扱うことによって、患者が受診医療機関を変更してもレセプトデータから診断や治療を追跡できる
  • レセプト・健診データだけでなく加入者台帳(適用台帳)情報も取り扱うことで、レセプトが発生しない・健診を受けていない加入者も母集団に組み込んだうえで全体の傾向を分析できる
  • 傷病方言や表記ゆれを標準化傷病に紐付け、傷病・薬剤・診療行為情報が高い精度で標準化されている
  • 国内最大級のデータベースである

これらの利点が高く評価され、様々な分野でJMDCのデータベースが活用されています。
特に学術領域では、多くの大学や研究機関でJMDCのデータベースが活用され、医学論文や学会発表によりその価値が社会へ還元されています。



JMDCデータベースを用いた研究事例

直近で発表されている生活習慣病をテーマにした論文をご紹介します。

1. 腹囲の大きさと心不全・心房細動の関連について調べた論文

この研究では、標準体重(BMIが18.5–23.0 kg/m2 )であっても腹囲が大きい(男性で90cm以上、女性で80cm以上)人は、心不全のリスクが1.07倍、心房細動のリスクが1.20倍高くなることを示されました。

生活習慣病の対策においてはBMIが指標にされることが多いですが、標準体重であっても腹囲が大きい人は心血管疾患に注意する必要があると言えます。


横軸が腹囲、縦軸がリスクを表す。
A. 心不全(全体)、B. 心不全(男性)、C. 心不全(女性)
D. 心房細動(全体)、E. 心房細動(男性)、F. 心房細動(女性)

参照元:
Ueno, K. et al. (2022) “Relationship of normal-weight central obesity with the risk for heart failure and atrial fibrillation: Analysis of a nationwide health check-up and claims database,” European Heart Journal Open, 2(3). Available at: https://doi.org/10.1093/ehjopen/oeac026. 



2. 健診値が悪かった人において、その後の医療機関受診行動を調べた論文

この論文では、高血圧、高血糖、脂質異常症に該当する人の健診受診後12ヶ月間の受診行動を分析しています。
2015年度以降は、医療機関を受診していない人に対して健診受診6ヶ月後にメールで受診勧奨を行いました。

その結果、健診受診後12ヶ月間で医療機関受診率は徐々に増加し、受診勧奨の効果もわずかに見られました。

この研究では受診勧奨の効果は見られましたが限定的で、受診勧奨の方法や内容は工夫することが重要だと考えられます。


横軸は健診受診後の月、縦軸は医療機関を受診した人の割合を表す。
上段:高血圧、中段:高血糖、下段:脂質異常症

参照元:
Hoshino, N. et al. (2021) “Effect of reminder letters after health checkups on the consultation behavior of participants with possible hypertension, hyperglycemia, and Dyslipidemia: A retrospective cohort study using administrative claims data in Japan,” Journal of Occupational Health, 63(1). Available at: https://doi.org/10.1002/1348-9585.12231. 




3. 糖尿病患者のコロナ禍の医療機関受診行動を調べた論文

この研究によると、1型糖尿病患者では医療機関受診者数が2019年同月と比べて2020年4月に100人当たり2.53人、5月に8.80人減少し、遠隔医療受診者は4月に0.71人、5月に0.54人増えていました。

2型糖尿病患者においては、医療機関受診者数が4月に2.50人、5月に3.74人 減少し、遠隔医療受診者は4月に1.13人、5月に0.73人増加していました。

また、1型糖尿病患者と2型糖尿病患者ともに、女性や高齢者でより受診を控える傾向が見られました。

まだコロナ禍の終わりが見通せない中で、医療機関受診を継続できるような啓発や遠隔医療受診などを促進する働きかけを行うことが重要です。




横軸が2020年の月、縦軸が受診者数(100人当たり)を表す。
左上:1型糖尿病・医療機関受診(遠隔医療受診を含む)、右上:2型糖尿病・医療機関受診(遠隔医療受診を含む)、左下:1型糖尿病・遠隔医療受診、右下:2型糖尿病・遠隔医療受診


参照元:
Yagome, S. et al. (2022) “Influence of the COVID-19 pandemic on overall physician visits and telemedicine use among patients with type 1 or type 2 diabetes in Japan,” Journal of Epidemiology, 32(10), pp. 476–482. Available at: https://doi.org/10.2188/jea.je20220032. 


おわりに

以上でご紹介したように、JMDCは構築したビッグデータをアカデミアでの活用などによって社会に還元しています。
今後も引き続きこのような事例を紹介していきます。

取り上げてほしいトピックがございましたら、ぜひ下記フォームよりご意見をお寄せください!

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