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【共同事業成果報告】女性の健康対策事業(2022~2023年度)


JMDCは2021(令和3)年度より「女性の健康対策」をテーマにした健康保険組合の共同事業の事務局を担当しています。婦人科がん検診の受診率向上からプレコンセプションケア、女性の生活習慣病対策まで、幅広い領域について意見交換しながらそれぞれの保健事業に活かす取り組みです。
今回は当事業の2022(令和4)〜2023(令和5)年度の成果報告として、具体的にどのような取り組みを行い、各健保組合の保健事業にどう活かされているのかを紹介します。


共同事業「女性の健康対策事業」の概要

当事業は厚生労働省による公募事業「高齢者医療運営円滑化等補助金による『レセプト・健診情報等を活用したデータヘルス推進事業(保健事業の共同化支援に関する補助事業)』」に採択されたものです。



婦人科がんや出産・不妊リスク、ライフステージごとに異なる健康課題など女性の健康課題への対策は、加入者女性や生まれてくる子どもの健康はもちろん、健保組合にとっては医療費、事業主にとっては労働生産性の観点からも重要です。しかし、単独の健保組合でこれらを検討するのは容易ではありません。こうした課題に対し、当事業では複数の健保組合が「女性の健康対策コンソーシアム」を形成。事業主にも働きかけてコラボヘルスを推進しながら共同で取り組んでいます。
具体的な運営内容としては、参加健保組合・事業主それぞれの課題や先進事例を共有するディスカッションや、最新知識をインプットする専門家の講演の実施など。最終的にはこれらを踏まえ、実際に各健保組合などの健康づくり施策で活用できる新たな啓発資材を制作したり、情報共有を行うことで、効果的な保健事業の計画や実行を推進することが目的です。こうした事業の継続、発展を通じて、長期的な女性の健康増進、医療費適正化を目指します。
JMDCはデータヘルスの支援企業として、当事業の事務局を担当。会議開催サポート・講演やディスカッションテーマの企画や講師の手配、啓発資材の企画や制作、報告書の作成を行っています。


2022(令和4)年度運営方針



各年度の事業内容

2022(令和4)年度


<参加組合:全8健保>

  • C&Rグループ健康保険組合(主幹事)
  • オムロン健康保険組合
  • 機缶健康保険組合
  • 資生堂健康保険組合 
  • 大和証券グループ健康保険組合
  • ポーラ・オルビスグループ健康保険組合
  • 丸井健康保険組合
  • ワコール健康保険組合


2022年度は婦人科がん検診、不妊やリスクのある出産(プレコンセプションケア、やせ女性)、40代以上の女性の健康課題(生活習慣病、更年期障害など)など幅広いトピックを扱いました。


2023(令和5)年度



<参加組合:全7健保>

  • FWD生命保険健康保険組合(主幹事)
  • C&Rグループ健康保険組合
  • 丸井健康保険組合
  • ポーラ・オルビスグループ健康保険組合
  • ワコール健康保険組合
  • 機缶健康保険組合
  • 大和証券グループ健康保険組合


2023年度は特に先進事例の少ないプレコンセプションケアに焦点を当て、加入者向けの研修を共同で実施。また前年度に取り上げられなかった「女性特有の食生活改善」について専門家の講演を実施し、共同資材を制作しました。さらに年度末にはアンケートを実施し、事業の効果検証まで行っています。


【事例】参加組合の取り組み状況


各参加組合ではコンソーシアムでの情報交換や講演で得た知識を活かし、女性の健康課題対策の拡充を進めています。その中から特徴的な取り組み事例を一部ピックアップして紹介します。


ポーラ・オルビスグループ健康保険組合

  • 子宮頸がん検診、乳がん検診の受診料は全額健保組合が補助。通常の健診とワンストップで受診できるほか、婦人科検診を単独で受診する場合も公用外出扱いとしています。その結果、受診率(2023年6月時点)は子宮頸がん検診73.4%、乳がん検診85%を達成。2023年度からは健診未受診の家族を対象にHPVセルフチェックも実施しています。

  • 女性従業員の月経随伴症状改善を目的に、オンライン診療による低用量ピル処方プログラムを実施(外部委託)。同様に更年期障害対策もテスト実施中で、こちらは男性更年期も対象としています。



機缶健康保険組合

  • 事業主との連携が難しい総合健保でコラボヘルスを拡充するべく、コラボヘルス施策の実行部隊「機缶けんぽ女子けんこう部」を設置しています。

  • 女性向けの健康相談窓口をLINEで開設し(外部委託)、300以上の事業所に点在する被保険者が利用しやすいように、医師や助産師への質問受付、専門職によるLINE通話、医療記事配信、授乳・卒乳・離乳食などに関するオンラインライブ配信を行っています。



C&Rグループ健康保険組合



  • 他健保事例を参考に、婦人科検診はオプションではなく、デフォルトで健診や人間ドックの中に組み込む形に。健診予約ページの設計にも反映させ、翌年度がん検診率が大幅に向上しています。また健保組合による健診予約と事業主によるストレスチェック、プレゼンティーズムサーベイの入り口はすべて加入者向けマイページに集約し、受診率や回答率を高めています。

  • 被保険者の平均年齢が35歳前後と若く、医療費が比較的少ないため、コラボヘルスによるプレゼンティーズム対策に注力。プレゼンティーズムサーベイの実施結果をもとに、被保険者のボリュームゾーンである20〜35歳女性のPMS対策を強化しています(外部委託のオンライン診療をテスト実施中)。



成果・成果物

共同事業の成果物として制作したチラシは、各組合のホームページへの掲載、各組合からのメール配信、コラボヘルスによるイベントや衛生委員の配布資料などとして活用されました。

2022(令和4)年度制作チラシ

 

2022年度は女性ホルモンの変動によって発生する症状やその対策について、ナッジ*を活用したチラシを制作しました。プレゼンティーズムにも触れることで男性にも興味を持ってもらえる構成にし、男女や役職などを問わず幅広い対象者へ配布、配信できるものとなっています。

*情報の受け取り手が自発的によりよい行動を起こせるよう、そっと後押しする手法



2023(令和5)年度成果物チラシ

2023年度は女性の食生活改善をテーマに、2パターンのチラシを制作しました。ターゲットである若年女性に響きやすいポジティブな訴求をするものと、危機感を喚起するもので使い分けられるようにしています。

チラシによる知識や意識の向上についてアンケートで効果検証したところ、日本の女性のやせや小さい赤ちゃんの出産割合が世界ランキング1位であることや、やせが妊娠や小さい赤ちゃんの出産リスクになることを始めて知ったという意見が多く、感想として「朝食を食べようと思った」「栄養バランスは1食は偏っても大丈夫という情報に罪悪感が減ったのでチャレンジしたい」「過度なダイエットは良くない」という意見が多数寄せられました。


(パターン1)


(パターン2)


おわりに

当事業では今後もカバー範囲を広げながら、引き続き女性の健康課題対策に取り組んでいきます。また事業の中で蓄積した事例は今回のような記事などを通じ、コンソーシアムメンバー以外の健保組合に向けても発信する予定です。皆さまの自組合における保健事業の企画、運営の参考にしていただけると幸いです。




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