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【健康保険組合連合神奈川連合会】保健事業に必要なデータ分析方法解説セミナー|登壇レポート

2024年9月4日に、健康保険組合連合神奈川連合会の保健事業勉強会が開催されました。
今回、JMDCは健康保険組合連合会神奈川連合会にお声がけいただき、「保健事業に必要なデータ分析方法解説 」について 弊社保険者支援事業本部データヘルス研究所の所長 工藤 大と、浦元広美が登壇いたしました。


当日は63名の方が参加されておりました。
JMDCからは、保健事業に必要なデータ分析方法について、総合評価指標の見直しについてと、医療費や生活習慣病等リスクの分析についてをわかりやすく解説するお時間をいただき、ご好評の声を多く頂戴いたしました。
本記事では登壇内容の概略をご報告いたします。


総合評価指標の見直し


まず始めに総合評価指標の見直しについて、工藤から説明させていただきました。

特定健診・特定保健指導の実施率を重視する方針 から、2025年度以降は総合評価指標の特定健診・特定保健指導の配点を大幅に減らし、他保健事業の配点を引き上げる決定がなされました。

その結果、保健事業全体の底上げが求められており、毎年の実態把握分析と事業の見直しが今後特に重要となっております。

以下の表が、総合評価指標がどの部分が改定されるかについてをまとめたもので、太字部分が改定される箇所です。




今回まではICTの項目であった「デジタル活用の体制整備」が改めて大項目1に追加になったことや、大項目2にて特定健診・特定保健指導の配点が大幅に見直しされること、大項目5では重複投薬・多剤投与対策が新設されたこと、大項目7に新設された3つの新たな項目について説明させていただきました。

今後は見直しされた点数や新設された項目を踏まえて、改めて保健事業を見直ししていく必要があります。


医療費増減分析


こちらのパート以降で使用する分析結果は、基本加入者数22,000人を想定したダミーの集計データを使用いたしました。
まずは、医療費増減分析を工藤より説明させていただきました。


まず、医療費分析において重要な3つのポイントを説明させていただき、実際の分析の手順をケーススタディと共に説明させていただきました。

その上で、実際のダミーデータを用いて「2022年度から2023年度にかけて医療費が2.8億円(8.2%)増加した」というケースの要因を探っていくことを手順に従い分析を行いました。


この要因を探るための実際のステップとしては、医療費の因数分解を行い、仮説を立てた上で仮説の検証を行いました。まず、実態を見るために加入者構成を把握し、加入者構成の変化も確認しました。
次に医療費の変化を被保険者・被扶養者別に把握し、医療費の変化のレセプト種別での把握、個人別年間医療費の階層別変化の把握も行いました。
ここまで把握した後にようやく疾病別医療費の把握を行いさらに、高額患者や歯科分析も行いました。

最後にまとめとして、医療費分析をおこなう際に重要なことは、全体俯瞰と仮説検証ということを再度お伝えし、重要なポイントをわかりやすく説明させていただきました。



生活習慣病等リスクの分析


続いて生活習慣病等リスクの分析について、浦元から説明させていただきました。
こちらのパートでも、基本加入者数22,000人を想定したダミーの集計データを使用いたしました。



1つ目は生活習慣病分析(健康課題マップ)についての説明です。
生活習慣病のリスク階層を俯瞰し、個人介入の優先順位を捉えるための分析であることをお伝えし、実際のダミーデータを用いて集計したものを例として説明いたしました。
その中で介入の優先順位の高い「治療放置群」についても深堀りし、その治療放置群の方々の前年度の階層化を示し、その中でも治療を中断したり、連続で治療放置群となっている優先度が高い対象についても説明いたしました。

次にレセプトデータの分析を説明しました。生活習慣病の疾患別の患者数の分析結果を示し、特に重症疾患についてが重要だとし、分析をすることで対策や保健指導の検討に繋がることや、腎機能リスクを可視化した表についても示し、高リスクかつ医療機関受診勧奨対象者を抽出できる例もお伝えいたしました。

また、特定保健指導について、対象者を減らすための対策の検討について、特定保健指導対象者の流入出分析の結果を示しながらお話しました。流入者(新規特定保健指導対象者)と流出者(特定保健指導対象基準から外れた対象者)のバランスが維持されてしまうと、実施率を高めても対象者は減少しないという説明をさせていただき、流入者を減らす対策を考えるうえで、対象者のセグメント分析を行い、それぞれのセグメントへの対策例もお伝えいたしました。



その他 保健事業に関する分析や目標設定・効果検証など


その他、保健事業に関する分析や目標設定・効果検証などについても浦元より説明させていただきました。

まずは特定健診の受診率を高める対策検討のための分析として、被扶養者の3か年の健診受診状況をグラフ化し、対象別の受診勧奨例をお伝えしました。



また、健康マップから見えてくる必要な保健事業として、健康マップの各階層に対して、課題解決のための保健事業の例をそれぞれ説明させていただきました。

さらに、事業目標(アウトカム指標)から逆算した事業評価分析(効果検証)については、事業目標の達成条件を踏まえて、各年度で振り返りを行うことが重要であるというお話をさせていただきました。



特定保健指導、生活習慣病重症化予防それぞれの項目において、具体的な事業目標(アウトカム)を例に出し、事業目標の達成条件は何か、そのために必要な活動(アウトプット)はなにか、および検証すべき事項は何かなど、具体例を深堀して対策を説明させていただきました。
さらに、これらの対策に関して重要なのは効果検証だとお伝えしたうえで、データを基にした効果検証についても説明し、そこから見えてくる課題を踏まえて別途施策を検討する必要があることもお伝えいたしました。

最後に、分析を行う上での注意点として、目的に合わせた対象者選定と条件設定を行うことが必要だというお話もさせていただきました。


まとめ

参加いただいた方からは下記のような声をいただきました。

より理解が深まったので、早速効果検証なども行いたいと思います。

事業所の協力をもっと強化してみたいと思う。

非常に参考になりました。データヘルス計画立案前にお聞きしたかったです。

分析したことをもっと見える化する必要があると改めて感じた。

JMDCでは保険者様のご依頼に応じた保健事業に関する勉強会やセミナー開催のご対応が可能です。
分かりやすく・端的なコンテンツ配信を強みとしておりますので、ご希望やご相談ございましたらお気軽にお問い合わせください。


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