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関東ITソフトウェア健康保険組合 近藤様 ユーザー会登壇レポート

2023年3月に開催されたJMDCユーザー会では、関東ITソフトウェア健康保険組合の常務理事である近藤様がユーザー事例として登壇いただきました。関東ITソフトウェア健康組合は、国内最大級の総合健康保険組合であり、もともとICTツールを導入していましたが、このツールを変更し2023年2月にPep Upを導入することを決定しました。
近藤様に、今後のデータヘルス計画や保健事業の展望、そしてICTツールの切り替えでPep Upを選んだ経緯について、参加者にお話しいただきました。
本レポートではご登壇いただいた内容をダイジェストでご紹介いたします。


関東ITソフトウェア健康保険組合様

令和5年2月末現在の加入事業者数は7,290社(令和5年2月末現在)、被保険者が約62万人、被扶養者が約30万人在籍している日本最大級の総合健保になります。

事業所数

7290



被保険者数

401,093人

221,494人

622,587人



第3期データヘルス計画に向けて

関東ITソフトウェア健康保険組合様は、第2期データヘルス計画が開始された頃から健康経営や共同事業、コラボヘルスなど、事業所のトップを巻き込んだ取り組みを行っています。近藤様より、今後の課題や危機感について語られました。

近藤様「健康保険組合では、後期高齢者支援金や前期高齢者納付金など高齢者医療の費用負担に関し、共通の課題として直面しています。前期高齢者の財政状況は時間の経過とともに改善すると見込まれていますが、後期高齢者支援金については依然として深刻な問題であり、適正かつ質の高い保健事業への投資が制約されています。
特に令和6年度以降は、コロナ禍による受診控えの影響が緩和され、医療費がコロナ禍以前の水準に戻ることが予想されています。このため、財政的な面では非常に深刻な危機感を抱えています。」


第3期データヘルス計画に向けてのポイントとして、以下の表に赤字で付け加えて表示いただきました。






コラボヘルスと健康経営について

コラボヘルスを行うにあたっては大規模健保ならではの難しさをうけとめ、次のような強みを生かした施策を実施しています。

近藤様「7,000社、90万人を超える加入者を抱え誇る当健保には、大中小様々なシステム関連の事業所様が加入されております。そのため、単一健保さんやグループ健保さんのように全社を巻き込んだコラボヘルスを行うことは難しいと考えました。
ただ、当健保の強みとして、レセプトや健診データ、各種保健事業データが膨大に蓄積されていること、保健事業や給付など業務を長く担当し専門業務に精通しているスタッフが多いこと、そして健保会館や保養所など自健保独自のインフラがあることが挙げられます。これらと外部委託事業を活用してデータヘルス計画、コラボヘルスを推進していこうという結論に至りました。

コラボヘルスについては、主に生活習慣病の健康リスクを高・中・低リスクと階層化した上で、それぞれのリスクに応じた保健事業を事業所とコラボヘルスを行いながら実施しているのが印象的でした。



取り組み始めて3年になる事業所とのデータ共同利用については以下のようにお話されていました。
 
近藤様「コラボヘルスの推進のため、事業所との間でデータの共同利用に関する契約を締結し、健康管理のデータ(特定保健指導などの保健事業対象者の情報)を共有しています。これにより、事業所の医療産業スタッフと健康保険組合の疾病予防担当スタッフとの間で保健事業連携を深める取り組みを着実に進めています。」



重症化予防事業例のご紹介

次に、関東ITソフトウェア健康保健組合様独自の重症化予防事業事例をご紹介いただきました。運動療法、栄養療法、座学の3つを1泊2日で行うプログラムです。

近藤様「このプログラムの開発に際して、23万人分の男性の糖尿病の指標状況をチェックしました。資料は少し古く、平成26年度のものですが、それぞれの青い点が一人ひとりを表していると考えてください。
この中で、濃い赤の帯の人については、病院への受診を強く勧めることとしています。一方、黄色の帯の部分は特定保健指導の対象になる可能性がありますが、まだ受診勧奨の段階には至っていない人々です。
 
そこで、黄色の帯の人々に対しては、どのように対応すれば良いのかという問いから、教育介入の事業が始まりました。」





こちらを踏まえ運動療法、栄養療法、座学の3つを1泊2日行うプログラムの内容をご紹介いただきました。




プログラムの主な内容


●   血糖値の見える化を目的として、SMBG(自己血糖測定)またはFGM(フラッシュグルコースモニタリング)を行う
●   2日間に分けて8回血糖値を計測する
●   初日には空腹時と、参加者の好きな昼食を食べた後に血糖値を測定する
●   食後に正しいお酒の飲み方やヨガのトレーニング、ウォーキング等のプログラムを織り交ぜていく
●   参加者が実際にプログラムを行い、翌日の血糖値を測定し、前日と比較する
●   血糖値の変化に応じて、アドバイスや指導を行う


近藤様「空腹時の血糖値変化を観察することで、行動の変化が実感できました。また、食後のウォーキングに関しては、参加者のほぼ全員の血糖値が下がっていることが確認されました。例えば、ある参加者はプログラムの2日間で血糖値が350からウォーキング後には219まで下がったという結果を示しました。このプログラムを始めてから統計を取り続けており、効果を実感しています。」



コロナ禍では全く開催できなかったこのプログラムも、現在は少しずつ再開をされているそうです。



ICT(健康ポータルサイト・PHR)ツールの見直し

第3期データヘルス計画に向けて今あるツールで大丈夫か、現在のICT(健康ポータルサイト・PHR)を使い続けるのかという課題が上がってきたそうです。


近藤様「以前利用していたツールは平成29年4月に導入されましたが、当時はICTサービスを提供するベンダーは2、3社しか存在しませんでした。そこで、ツールの見直しを行うにあたり、以下の課題に対応できるベンダーを見つけることから始めました。」

  1. 健保側の管理者ツールの利便性が良く、不具合の改善対応が迅速であること
  2. スマートフォンに特化したサービス提供をしていること
  3. AndroidとiOSに親和性の高いアプリでOSのバージョンアップに対応し不具合等があっても短時間で対応可能であること
    スマホ操作がユーザーフレンドリーであること
  4. ウォーキングラリーを開催でき、かつ事業所や事業所の部署単位で自由な大会を開催できること
  5. ポイントインセンティブの交換商品が多彩であること

近藤様「以上5点の要望を全て充足出来るツールを調べたところ、JMDCのPep Upしかなかったということが選定の大きな理由です。」

また大きな決め手は次の点もあったといいます。

●   医療費通知やジェネリック医薬品差額通知の閲覧等ができること
●   現行運用ツールのインセンティブポイントをPep Upへ移行することができること
●   信頼が持てるツールであり確実で安心な移行スケジュール体制であること
●   これまでのツールで表記できていた健診項目の閲覧や過去分の健診データの移行ができること

上記の内容が充足し、2023年2月に切り替えが行われました。






導入後の状況

導入後のご状況についてもお話いただきました。

近藤様「最初は、前のツールの加入者数を基準にして、令和5年度の目標として約45,000人の登録者を見込んでいましたが、すぐにその目標を上回り、現在(2023年3月時点)では約85,000人の登録があります。わずか2ヶ月で、当初の予想を大幅に上回る数の登録が行われた状況です。ただし、被扶養者の参加状況が少し低いため、今後はさまざまなアイデアや助言を得ながら、加入を促進する取り組みに力を入れていきたいと考えています。」

※編集部注:2023年5月末の登録者数は約98,000人



近藤様「まだ導入して1ヶ月半ですぐに効果が出たのが、昨年から復活させた歯科健診の会場型健診(会場:市ヶ谷)です。市ヶ谷は他の会場である山王や大久保と比べて場所も分かり辛く駅から遠いため、いつもは募集が半分も埋まらなかったのですが、試しにPep Upで案内をしたところ、開始1週間ですぐに埋まってしまいました。これからは加入促進のため何でもPep Upに情報を掲載していこうという方針です。」
 
さっそくPep Upを活用いただき、効果を実感していただいたとのことです。最後に、Pep Upへの期待と展望についてもお話いただきました。

「Pep Walk※1などの「歩くこと」を主体としたイベントには大変期待しております。
これまで年に2回のウォーキング大会を開催し、参加者の増加が見られました。SNS上で事業者間の「ぼっち募集(一人参加の人が仲間を募る)コーナー」ができるなど、グループでの参加が促進されました。ウォーキングラリー開催ごとに参加者が増えていく傾向があり、これが続いていると考えています。
今後は、事業所ごとに独自のウォーキングラリーを実施することにも期待しており、これはPep Up導入の大きな要素の一つです。」

※JMDC主催のウォーキングラリー名称。現在は「ふれんどウォーク」。



さいごに

今回は、関東ITソフトウェア健康保険組合の常務理事である近藤様にご登壇いただき、具体的な事例をご紹介いただきました。
 
参加者の皆さまからは、

データ分析に基づいた、総合健保ならではの事業展開が素晴らしい

事業所数・加入者数が圧倒的に多くて驚いたが、データを可視化して保健事業の効果検証に役立てておられ、印象的だった。

他の組合の取り組みを知ることができたことについてもとても興味深かった


などのお声が多く寄せられ、大変好評をいただくことが出来ました。
 
JMDCのユーザー会では、今後も当社ユーザー様にさらなる価値あるイベントを提供できるよう、努力を重ねてまいります。
最後になりますが、今回ご登壇いただいた関東ITソフトウェア健康保険組合の近藤様には心から感謝申し上げます。

ご協力いただき、本当にありがとうございました。


健康ポータルサイト 「Pep Up」については
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