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生活習慣病対策の優先順位を見える化|「健康課題マップ」の活用法を解説

保健事業における生活習慣病対策は、医療費適正化に直結するのはもちろん、後期高齢者支援金の加算・減算制度への対応としても不可欠です。法定の特定保健指導に加え、特定保健指導の対象から漏れてしまう高リスク層や、将来的なリスクのある若年層などに対しても、それぞれ適した対策を打っていく必要があります。

 

アプローチするターゲットをどのように設定するのか、それぞれに対してどう優先順位をつけて取り組んでいけばいいのか──。

こうした課題の解決を助けるツールとして、JMDCでは、データをもとに生活習慣病対策の全体像を把握する「健康課題マップ」を提供しています。今回は、その仕組みや特長、具体的な活用方法を解説します。

 

【この記事でわかること】

  • 「健康課題マップ」は、健診データとレセプトデータをもとに、加入者を生活習慣病リスクごとに分類し、ターゲットごとの対策方針も含めて見える化するツール。
  • 8つの分類のうち、もっとも注力すべき生活習慣病対策は「治療放置群」への受診勧奨。次いで「生活習慣病群」の重症化予防、「不健康群」「患者予備群」の生活習慣病発症防止が挙げられる。
  • 「健康課題マップ」はコラボヘルスの推進にも有用。事業主と目線を合わせたり、事業所の健康経営優良法人認定をサポートしたりする形で活用できる。

 


生活習慣病リスクの鳥瞰図「健康課題マップ」とは

 「健康課題マップ」は、健診データとレセプトデータを掛け合わせ、加入者の生活習慣病リスクの全体像を可視化するツールです。

 

健康状態(検査値、病名、診療行為)と通院状況(レセプトの有無)をもとに、自組合全体、または各事業所の加入者を生活習慣病リスクのレベルで分類。各セグメントに分布している加入者の割合や、ベンチマークとの分布割合の比較、さらに各セグメントに対する対策の方針・方法を一覧で整理します。加入者の生活習慣病リスクを俯瞰することで、現段階でアプローチすべきターゲットの優先順位がつけやすくなります。

 

「健康課題マップ」のリスク分類では、まず加入者を大きく2つのグループに分け、さらに8つのセグメントに細かく分類します。 

 


グループ①生活習慣病通院歴ありグループ(マップ右側)

マップの右側は、生活習慣病のレセプトが出ている、すなわち生活習慣病で通院している加入者のグループです。
レセプトデータの傷病名をもとに、さらに3つのセグメント(生活習慣病群、重症化群、生活機能の低下群)に分けられます。


グループ②生活習慣病では未通院グループ(マップ左側)

マップの左側は、生活習慣病のレセプトが出ていない加入者のグループです。
このグループは、健診を受診していない「未把握」セグメントと、健診結果の血糖、血圧、中性脂肪の値をもとに分類した、さらに4つセグメントに分かれます。このうち「不健康群」「患者予備群」「治療放置群」は、血糖、血圧、脂質のいずれかの値が特定保健指導基準値を超えている層です。(上図赤枠)。

 


【実践】注力すべきターゲットの優先順位付けと施策例

生活習慣病リスクごとに分けられた7つのセグメントを、対策の優先度順に整理すると次のようになります。

 


優先度1位:「治療放置群」への受診勧奨

「治療放置群」は、本来医療機関で生活習慣病の治療を受けるべき健診数値であるにもかかわらず通院していない(未通院・治療中断)加入者が該当します。

この層に通院してもらい、合併症に至る前段階にとどまっている「生活習慣病群」へ移動させるのが、生活習慣病対策として最優先です。具体的には、個別の医療機関受診勧奨などの施策が考えられます。

「『生活習慣病群』が増加する」というと、一見、健康状態が望ましくない加入者が増えたように感じられますが、早期発見・早期治療につなげた結果であれば、むしろ保健事業による重症化予防が着実に成果を上げている状態であるといえます。


優先度2位:「生活習慣病群」の重症化予防

「生活習慣病群」は、通院によって適切に医療管理されている加入者層です。

このセグメントに対しては、合併症に至らないよう(「重症化群」へ移行しないよう)、現状を維持するための施策が重要になります。レセプトから通院状況を継続的に把握し、適宜通院勧奨を行うなどの重症化予防策が有効です。


優先度3位:不健康群・患者予備群の流入防止

「不健康群」「患者予備群」は、生活習慣病には至っていないケースが多いものの、健診数値が特定保健指導の基準値を超えている層です。

より高リスクのセグメントへの流入を防止するため、40歳以上の特定健診に加え、40歳未満の若年層への対策にも取り組みたいところです。


「健康群」「重症化群」「生活機能低下群」もそれぞれ対策を

これまで説明した4つのセグメントと比較すると優先度はやや低いものの、「健康群」「重症化群」「生活機能低下群」への対策も適宜検討が必要です。
 

「健康群」は、文字どおり健康状況が良好な層であるため、現状維持が目標です。例えば、PHRサービス・アプリを導入して加入者の自己管理をサポートしたり、情報提供によってヘルスリテラシーの向上を図ったり、健康イベントやポイントインセンティブを実施して健康行動を促したりする方法が考えられます。

また、生活習慣病が重症化して合併症を伴っている「重症化群」には、重大疾患の発症を予防するためのプログラム、さらに入院にまで至っている「生活機能低下群」には、再発リスクを少しでも減少させるためのプログラム、また本人の体調に合わせた復職プログラムの整備も検討します。


【事例】「健康課題マップ」の活用でコラボヘルス・保健事業を強化

以上のような「健康課題マップ」は、コラボヘルスで生活習慣病対策に取り組む上でも有用です。事業主にとっては、事業主が保有できないレセプトデータも踏まえて、従業員の健康状態を把握できるメリットがあります。また、レポートとして一目でわかるように整理されているため、保険者と事業主(経営層、人事担当者、産業医など)が現状について共通認識を持ちやすくなります。

コラボヘルスに「健康課題マップ」を活用している好事例として、JMDCサービスのユーザーである静岡県信用金庫健康保険組合の取り組みが挙げられます。

 

保険者名 静岡県信用金庫健康保険組合(令和8年3月末現在)
種別 総合健保
加入事業所 信用金庫9事業所、関連会社など21事業所(いずれも静岡県内)
被保険者数 6,600人
被扶養者数 4,267人

同組合が加入する全信用金庫へアンケートを実施したところ、どの事業所でも健康経営を推進するための体制は整っているものの、健康データを集計・分析するノウハウがなく、健康課題の把握や具体的な推進策の立案が困難になっている実態が明らかになったといいます。そこで「らくらく健助」を活用し、事業所ごとの健康データ分析をまとめたレポートを作成・提供する取り組みを始めました。レポートの内容は、事業所ごとの医療費、健康状態(健診・レセプトなどの分析結果)、健康行動(特定健診受診率、ウォーキングイベントの参加状況など)の3部構成。このうち、第2部で「健康課題マップ」が活用されています。

このレポートにより、事業所側では健康経営優良法人の認定にもつながる施策立案が容易になったほか、健康経営担当者から経営層への説明もしやすくなったといいます。

保険者側でも、コラボヘルスの推進によって特定保健指導対象者が減少傾向に。また「健康課題マップ」を含むデータ分析レポートの作成を通じて、若年層も含めた被保険者全体の健康リスクを、改めて把握できたといいます。結果、健診補助の範囲を拡大するなど、糖尿病をはじめとする生活習慣病対策の強化につなげています。


まとめ

生活習慣病対策は、やみくもに実施するだけでは成果につながりません。
データをもとに今アプローチすべき層をあぶり出し、効果につながる対策をピンポイントで打っていく──。

そうした費用対効果の高い生活習慣病対策に役立つのが、生活習慣病リスクの鳥瞰図「健康課題マップ」です。

 

この「健康課題マップ」を活用した分析は、JMDCが提供する保険者向けデータ分析ツール「健助+」でも、2026年6月中に利用可能となる予定です。


「医療費や健診、レセプトデータなどから保健事業を検討・評価したいけれど、扱いが難しい」
「理事会・組合会の資料や、事業主向けのレポートの作成に時間がかかる」
といったお悩みのある保健事業担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

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