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スイッチOTC医薬品とは? 選択するメリットと活用促進のためにできること

医療費削減につながる有用な取り組みのひとつとして注目されている、スイッチOTC医薬品の活用。厚生労働省では、令和8年末までをめどに、対象医薬品のさらなる拡充を目指すと発表しています。

そんなスイッチOTC医薬品は、保険者や加入者にどのようなメリットをもたらすのでしょうか? 選択が推奨される理由や、活用促進するために保険者ができる施策などをご紹介します。

 


今後ますます増える「スイッチOTC医薬品」とは

 

処方箋がなくてもドラッグストアなどで購入できる市販薬(大衆薬)のことを「OTC医薬品」といいますが、このうち「これまで主に医師によって処方されていた医療用医薬品をOTC医薬品に転用したもの」は、「スイッチOTC医薬品」と呼んで区別されます。

スイッチOTC医薬品は、厚生労働省が「副作用が少なく、安全性が高い」と認定した医療用医薬品で、例えば以下のようなものがあります。

 

  • 風邪薬
  • 胃腸薬
  • アレルギー症状用の点鼻薬
  • 皮膚炎用の軟膏
  • 肩こりや腰痛などの貼付薬
  • 水虫・たむし用薬

 

なお、これらの医薬品は、OTC医薬品に転用後も医療用医薬品として処方されることもあります。つまり、同じ医薬品でも「ドラッグストアで購入するケース」と「医師の診察を受けて処方してもらうケース」があるということです。

 

そんなスイッチOTC医薬品は、国が適切な活用を推奨しており、その対象薬は今後さらに増えていく見込みです。その背景にあるのは、医療費の増加。スイッチOTC医薬品は医師の診察や処方なしで購入できるため、医療用医薬品から積極的に置き換えることで、医療費の大きな削減につながる可能性があると考えられています。


スイッチOTC医薬品の活用メリット

 

スイッチOTC医薬品の活用によるメリットは、医療費の削減だけではありません。保険者、加入者それぞれに以下のようなメリットがあります。

 

保険者の活用メリット

 

保険者にとって最も大きいメリットは、やはり医療費の削減といえるでしょう。ただし、単に「加入者が1回の不調を回復するためにかかる医療費が減る」だけではありません。

スイッチOTC医薬品の活用は、セルフメディケーション(自分自身の健康に責任をもち、軽度な身体の不調を自分で手当てすること)の一貫です。加入者一人ひとりがスイッチOTC医薬品を活用し、セルフメディケーションを実践する習慣をつけることで、自身の健康への意識や生活習慣の改善、ヘルスリテラシーの向上なども期待できるでしょう。そうして加入者の健康増進を実現できれば、最終的には医療費の適正化を大きく進められる可能性もあります。

 

・加入者の活用メリット

 

保険者から加入者に伝えるべきメリットとしては、医療機関を受診せずとも効き目がいい医薬品(医療用医薬品と同じ有効成分を含む医薬品)を入手でき、軽度の不調のケアを自宅でケアできる点が挙げられます。

さらに、スイッチOTC医薬品の購入金額に応じて所得税や住民税が減額される「セルフメディケーション税制」という医療費控除特例があり、経済的にもメリットがある点も積極的に周知したいポイントです。

 

<セルフメディケーション税制>

OTC医薬品の購入金額が年間1万2,000円(生計を同じくする家族分も合算可能)を超えた場合、8万8,000円を上限として、その超過金額が課税所得から控除されます。なお、セルフメディケーション税制の対象医薬品には、原則として日本一般用医薬品連合会による共通識別マークがついています。


加入者にスイッチOTC医薬品を活用してもらうために

 

スイッチOTC医薬品の活用率を高め、医療費の削減につなげるためには、保険者による加入者への丁寧なアプローチが欠かせません。具体的な方法としては、例えば以下のようなものがあります。

 
  • スイッチOTC医薬品の啓発活動

セミナーの実施やコンテンツ配信、パンフレット・ポスターの配布などをとおして、スイッチOTC医薬品の存在やメリットを訴求しましょう。なお、併せてセルフメディケーションの概念についても説明すると、先に触れた「加入者の健康増進」をより強く後押しできるはずです。

 
  • レセプトデータを活用した個別通知

レセプトデータに基づき、加入者一人ひとりの健康状態に合わせてスイッチOTCの活用を提案する方法も効果的です。具体的な医薬品の例や、いくら医療費を削減できるかを明示することで、より行動変容を促しやすくなるでしょう。

 

案内時の注意点

 

スイッチOTC医薬品について案内する際には、以下の「活用にあたっての注意点」も周知することがポイントになります。

 
  • スイッチOTC医薬品でケアするのは、あくまで「軽度の不調」のみ。症状が改善しない場合は必ず医療機関を受診する必要がある。
     
  • 可能であれば薬剤師に相談のうえ購入できるとベスト。保険者が相談窓口を設置している場合は併せてアナウンスを。
     


スイッチOTC医薬品の積極的な活用を

 

スイッチOTC医薬品の活用は、保険者と加入者の双方にメリットの大きい取り組みであり、ひいては国が抱える問題の解消にもつながります。活用のさらなる拡大において重要なカギとなるのが保険者による啓発なので、ぜひ周知活動の実施、もしくは強化を検討してみてください。

 


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