
2026年度版「JMDC健康経営KPIガイドブック」とは?保険者・企業での活用方法を解説
保険者が事業主と連携してコラボヘルスを進める上では、加入者や事業所の健康課題を把握し、共有することが重要です。
JMDCでは、2024年12月に「JMDC健康経営KPIガイドブック」(以下、健康経営KPIガイドブック)を発行し、健康経営銘柄企業やホワイト500認定企業、その他企業の健康状態や生活習慣などを性年代別に分析しています。自組合や事業所のデータと比較することで、健康課題の把握やターゲットの特定、目標値(KPI)の設定を検討する際の参考となる資料です。
2025年度の健診・レセプトデータを反映した「2026年度版 JMDC健康経営KPIガイドブック」でも、健康経営銘柄企業・ホワイト500認定企業では、その他企業と比べて多くの健診項目で有所見者割合が低く、「治療放置群」の割合も明確に少ないという結果が確認されました。
本記事では、無料でダウンロードいただける2026年度版健康経営KPIガイドブックから、代表的な項目として、血糖・血圧の有所見者割合と、健康課題マップのデータを紹介するとともに、保険者における3つの活用例(施策の優先順位づけ、事業所・年代別の課題把握、KPI設定) を解説します。
2026年度版「JMDC健康経営KPIガイドブック」とは
2026年度版KPIガイドブックでは、JMDCが集積した国内最大級の医療ビッグデータのうち、被保険者約800万人分を分析しています。
健康経営銘柄企業(11社・約5.1万人)、ホワイト500認定企業(319社・約91.1万人)、その他企業(約705.8万人)について、健康状況や生活習慣、生活習慣病リスクなどを性年代別に比較しています。加入者構成では、各企業群の男女比や平均年齢などの基本情報も確認できます。
無料でダウンロードいただけるKPIガイドブックには、以下のようなデータが掲載されています。
| 項目 | 掲載内容 |
| 1.加入者構成 | 性別・年齢階層別加入者構成割合 |
|---|---|
| 2.健康状況 | サマリ
健診項目別 有所見者割合(腹囲・BMI|血糖|血圧|脂質|肝機能|服薬) |
| 3.生活習慣 | サマリ
問診項目別 非良好者割合(喫煙|運動|食事|飲酒|睡眠|生活習慣改善意欲) |
| 4.生活習慣病リスク分布 | 健康課題マップ |
| 5.まとめ | 健康経営の取組に向けて |
※本データは業種・企業規模等未調整の単純集計です。集計企業数には差があるため、数値が一部企業の傾向に左右されやすい点にご留意ください。
【JMDC健康経営ガイドブック|詳細・無料ダウンロードはこちら】
データから見る、健康経営に取り組む企業の健康状態
2026年度版KPIガイドブックの健診データを見ると、健康経営銘柄企業やホワイト500認定企業では、その他企業と比べて、多くの項目で有所見者割合が低い傾向が見られました。
ここでは、男性のHbA1cと女性の収縮期血圧を例に、年代別の傾向を確認します。
●男性のHbA1c有所見者割合
男性のHbA1c有所見者割合を見ると、すべての年代で「健康経営銘柄企業」「ホワイト500認定企業」「その他企業」の順に低い結果となっています。
全体では、健康経営銘柄企業とホワイト500認定企業はいずれも約36%、その他企業は約40%でした。

【図:男性の年代別 HbA1c有所見者割合】
●女性の収縮期血圧有所見者割合
女性の収縮期血圧有所見者割合を見ると、すべての年代で、健康経営銘柄企業とホワイト500認定企業のいずれもその他企業を下回っています。
全体では、健康経営銘柄企業は約12%、ホワイト500認定企業は約11%に対し、その他企業は約17%でした。

【図:女性の年代別 収縮期血圧有所見者割合】
無料でダウンロードいただけるKPIガイドブックでは、このほかにも、腹囲・BMI、血糖、脂質、肝機能、服薬状況などの健康状況を性年代別に確認できます。また、喫煙・運動・食事・飲酒・睡眠などの生活習慣についても、性年代別に確認できます。
健康課題マップから見る生活習慣病リスク
KPIガイドブックでは、健診結果とレセプトデータを組み合わせて、加入者の生活習慣病リスクを可視化する「健康課題マップ」も掲載しています。

【図:生活習慣病リスク分布|「健康課題マップとは」】
健康課題マップでは、健康状態と通院状況をもとに、加入者を健康群・不健康群・患者予備群・治療放置群・生活習慣病群・重症化群・生活機能低下群の7段階に分類し、生活習慣病リスクの分布や対策が必要な層を把握できます。
【関連記事|生活習慣病対策の優先順位を見える化|「健康課題マップ」の活用法を解説】

【図:生活習慣病リスク分布「健康課題マップ」(全体)】
2026年度版KPIガイドブックの健康課題マップを見ると、健康経営銘柄企業やホワイト500認定企業には、次のような傾向が確認できました。
「健康群」の割合は、20代・30代・60代では、健康経営銘柄企業とホワイト500認定企業のいずれもその他企業を上回っています。一方、40代・50代では、健康経営銘柄企業とホワイト500認定企業のいずれも、その他企業とほぼ同水準でした。
健康経営銘柄企業とホワイト500認定企業は「治療放置群」の割合が少ない一方、健康経営銘柄企業では「生活習慣病群(通院中)」の割合が多い傾向が見られました。このことは、受診勧奨による早期受診の促進など、健康経営の取り組みが一定の成果をあげている可能性を示唆しています。
「JMDC健康経営KPIガイドブック」の具体的な活用例
健康経営KPIガイドブックは、保険者と企業それぞれの立場から、自組合や事業所の健康状態を把握することができます。健康課題や今後の取り組みを検討する際の参考資料としても活用できます。具体的な活用例を3つ紹介します。
①健康課題に応じた施策の優先順位を検討する
自組合や事業所の健康状態を外部の水準と比較すると、健康課題の優先順位を整理しやすくなります。
例えば、自組合や自社のデータがホワイト500認定企業の水準を上回っていた場合、その差を「なぜこの施策が必要か」を経営層に説明する材料として活用できます。実際にJMDCでは、健康経営KPIガイドブックなどを活用して健康経営銘柄企業やホワイト500認定企業の水準を参照しながら、ベンチマークを設定してきました。
②事業所・年代・性別ごとの健康課題を把握し、共有する
事業所単位でデータを比較すると、事業所ごとの特徴や健康課題を把握しやすくなります。
例えば、複数の事業所がある企業では、保険者と企業が連携し、事業所ごとのデータをKPIガイドブックの水準と比較します。「A事業所はホワイト500水準に達しているが、B事業所は健康課題が多い」といった形で、事業所長や衛生委員会に客観的な状況を共有すれば、現場での気づきを促し、現場発の取り組みにつなげやすくなります。
性年代別に比較すれば、特定の層に課題が偏っていないかも分かります。「自組合の20〜30代女性は朝食欠食率が高い」、「40〜50代男性は運動習慣が低い」といった場合、対象を絞った健康イベントや情報発信を企画する際の参考になります。
③自組合・自社のKPI設定と、継続的な目標管理に活用する
「健康経営に取り組みたいが、何を目標にすればいいか分からない」という担当者の方もいるかもしれません。 健康経営KPIガイドブックには、健康経営銘柄企業やホワイト500認定企業などの健康状態や生活習慣が性年代別に掲載されています。
自組合・自社のデータを同じ性・年代の数値と比較すると、どの年代・どの項目に健康課題があるのか見えてきます。
例えば、ホワイト500認定企業の水準を、自組合・自社が目指す目標値(KPI)として設定することもできます。KPIガイドブックは毎年発行されているため、最新版と自組合・自社のデータを継続的に比較すれば、KPIの達成度を定点観測しながら、取り組みを見直していくことも可能です。
【関連記事:「健康経営に取り組む企業の健康度は本当に高いのか?」セミナーレポート「JMDC健康経営KPIガイドブック」を用いて分析】
健康課題の把握を、具体的な取り組みにつなげる
健康経営KPIガイドブックを活用すると、自組合や事業所の健康状態を外部の水準と比較し、健康課題や取り組む対象を整理できます。こうして把握した健康課題は、事業所別レポートによる事業主との課題共有や、Pep Upなどを活用した健康づくり施策の検討にもつなげられます。
JMDCと契約があり健診データを預かっている場合は、健康保険組合の承認を得たうえで、自組合の健康経営状況の分析をJMDCに依頼することも可能です。
2026年度版健康経営KPIガイドブックの無料版は、以下からダウンロードいただけます。自組合や事業所の健康課題の把握や、今後の取り組みを検討する際にぜひご活用ください。


