
保険者のデータ分析業務をどう進める?健助+で支援する効果検証
2026年9月15日に開催した「成果が求められる時代の、保険者のデータ分析セミナー」では、保健事業の成果をどのように分析し、次年度の改善につなげるかをテーマに、年間を通じた分析業務の進め方をご紹介しました。
保険者の実務では、理事会や組合会、事業主から「この事業はどのような効果があったのか」「来年度も継続する必要があるのか」といった説明を求められる場面があります。
本記事では、セミナーの内容から、保健事業の効果検証に必要なデータ分析の進め方を取り上げます。
健助+をまだ利用していない保険者様にも、どのような場面で使えるのかが分かるよう、グラフや明細出力などの基本機能を解説します。
なぜ今、保健事業の効果検証が求められているのか
保健事業の効果検証が求められる背景の一つに、後期高齢者支援金の加算・減算制度の見直しがあります。
2027年度からは、総合評価指標の大項目1「健康課題に対応した保健事業の実施」が、減算の必須項目として新設されます。健診・レセプト情報等の分析から、保健事業の計画・実行、毎年度の振り返り・評価、国への報告までを行うことが求められます。
また、総合評価指標の合計点が上位20%に入っていても、必須項目を満たしていなければ減算対象にはなりません。

2027年度以降の総合評価指標|大項目1「健康課題に対応した保健事業の実施」が減算の必須項目になります。厚生労働省保険局保険課「第4期後期高齢者支援金の加算・減算制度について(2027~2029年度)」をもとにJMDC作成。
制度への対応に加え、理事会や組合会、事業主に、保健事業を継続・見直す根拠を示すことも求められます。
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「実施結果」と「成果」はどう違う?効果検証にデータ分析が必要な理由
保健事業の振り返りでは、数えれば出せる「実施結果」と、分析しないと出せない「成果」を分けて考えます。
受診勧奨通知や保健事業案内の発送数、イベントやプログラムの参加者数・完了者数、事業にかかった費用など、実施した量や規模を示す情報は「実施結果」にあたります。
一方、参加した人の行動に変化があったのか、健診結果が改善したのか、実施した人と実施しなかった人で違いがあったのか、医療費にどのような変化が見られたのかといった内容は、事業の「成果」にあたります。

「実施結果」と「成果」の違い |セミナーでは、多くの保険者がこの「成果を示す」段階で止まっていると指摘しました。
保健事業を次年度の改善につなげるには、「何を実施したか」だけでなく、「実施後に何が変わったのか」を確認する必要があります。そのためには、健診データやレセプトデータを用いた分析が欠かせません。
では、分析業務はどのような順序で進めればよいのでしょうか。
保健事業の効果検証は「5つの動き」で考える
保健事業の効果を確認し、次年度の改善につなげるには、事業が終わった後に結果を集計するだけでは十分ではありません。課題を見つけ、要因を確認し、対象者を絞り、施策を実施し、その後に変化を確かめるという一連の流れが必要です。
セミナーでは、この流れを次の5つの動きとして整理しました。
- 気づく:自組合の健康課題や変化に気づく
- 深掘りする:なぜその課題が起きているのかを確認する
- 絞る:どの対象者に施策を行うかを決める
- 実施する:対象者に対して保健事業を実施する
- 確かめる:実施後にどのような変化があったかを確認する
5つ目の「確かめる」ができるのは、事業開始の約1年後です。翌年度の健診結果が出てから検証するため、途中で分析が止まると、翌年度の事業にも遅れが出ます。

特定保健指導の2年間のスケジュール例|効果検証のあと、翌年度の業者選定や対象者抽出がすぐに続きます。
セミナーでは、中規模の健康保険組合で特定保健指導を担当するAさんをモデルケースに、1年間の分析業務をたどりました。
※数値は説明用のイメージです。
気づく・深掘りする|対象者増加の内訳を確認する
Aさんは、特定保健指導の実施率がここ数年40%前後で横ばいなのに、対象者数は増えていることに気づきました。そこで、対象者を「前年度から引き続き対象になった人(リピート)」「新たに対象になった人(流入)」「対象から外れた人(流出)」に分けて確認しました。

対象者の流入・流出の内訳|流出した人より、新たに対象になった人の方が多い状態でした。
分析の結果、前年度から引き続き対象となった人が550名、新たに対象となった人が650名、対象から外れた人が400名でした。流入が流出を250名上回っていました。
年代別に見ると、増加していたのは「40代の流入群」だと分かりました。対象者数の変化を全体で見るだけでなく、流入・流出や年代別に分けて確認することで、次に詳しく見るべき対象が明確になりました。
絞る・実施する・確かめる|効果検証を翌年度の事業計画と予算につなげる
Aさんは施策の対象を40代の流入群に絞り、対象層に合ったプログラムを提供する事業者へ委託しました。
翌年度、40代流入群の終了率と健診結果を前年度と比べました。終了率は43%から55%に上がり、翌年度健診での「-2kg/-2cm」達成率も18.9%から22.9%に伸びました。一方、対象者全体の参加率・終了率は伸び悩んでいたため、その課題もあわせて報告し、40代流入群への委託継続と翌年度の予算を上申しました。

40代流入群の翌年度健診における「-2kg/-2cm」達成率|腹囲2cm・体重2kg減を達成した人の割合です。数値は説明用のイメージです。
セミナーでは、Aさんがどの指標を比較したのかに加え、質問票とレセプトを照合して服薬者を特定保健指導の対象から除外する手順についても、リストのイメージとともに解説しました。
健助+でできること|グラフと明細出力で現状把握から振り返りまで
Aさんのような1年の分析業務を、ひとつのツールで進められるようにしたのが、JMDCの保険者向けデータ分析ツール「健助+」です。5つの動きのそれぞれに対応できるよう、機能の拡充を進めています。

年間を通じた分析業務の5つの動きと、健助+の対応機能|AI分析・対象者出力は2026年度中に提供予定です。
健助+が現在提供しているのは、グラフ機能・明細出力機能・定期レポート機能です。
グラフ機能では、医療費、健診・問診情報、加入者構成、保健事業管理に関する指標を可視化できます。記号・所属や年度、年齢層といった集計単位を切り替えることで、自組合の傾向を確認できます。健診結果を他組合のデータと比較することも可能です。
また、健診・レセプトデータをもとに、加入者の生活習慣病リスクを整理するJMDC独自の「健康課題マップ」も確認できます。健康状態や通院状況ごとに加入者の分布を可視化し、優先して対策を検討したい層の把握に活用できます。
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生活習慣病対策の優先順位を見える化|「健康課題マップ」の活用法を解説

健助+のグラフ機能の一例|分析項目や集計単位を選び、グラフと表で確認できます。
明細出力機能では、個人単位でレセプト・健診・加入者情報を紐づけたリストを出力できます。保健事業の対象者や実施後の状況を、個人単位で確認するときに役立ちます。加入者・レセプト・健診の条件を組み合わせて対象者を抽出する「対象者出力」機能も、2026年度中に提供予定です。
健助+の基本機能や活用イメージについては、サービスページで詳しくご覧いただけます。
健助+のAI分析機能(2026年度中提供予定)|質問文から分析結果と示唆まで
健助+では、2026年度中にAI分析機能のリリースを予定しています。
集計条件の設計や集計プログラムの作成は不要で、分析したい内容を日本語の質問文で入力する仕組みです。
セミナーでは、20代から60代の女性の、2024年4月〜2025年3月の健診実施率を集計する質問を例に、AIが分析手法・分析結果・示唆を表示するまでの流れを紹介しました。
AI分析の画面イメージは、セミナーのオンデマンド配信でご覧いただけます。提供時期や詳しい仕様については、お問い合わせください。
※セミナーで紹介しているAI分析機能の画面・仕様には、開発中のものが含まれます。実際の仕様・デザイン・提供時期は変更となる場合があります。
保健事業のデータ分析を、毎年続けられる業務へ
保健事業の効果検証は、一度行って終わりではありません。翌年度も同じ観点で振り返り、変化を追う必要があります。誰が担当しても、必要な指標や対象者を確認できる環境があれば、毎年の振り返りを続けやすくなります。
本記事で取り上げた分析業務の進め方や、記事では紹介しきれなかった集計例、AI分析機能の画面は、健助+セミナー「成果が求められる時代の、保険者のデータ分析セミナー」で詳しく解説しています。ぜひオンデマンドでご覧ください。
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